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65 帰ってきた写真ギャラリーめぐり-フォト・ヨコハマと横浜市民ギャラリー- [帰ってきた写真ギャラリーめぐり]

 横浜には横浜市民ギャラリーという美術館の類いがある。横浜美術館とは別で、それよりも、より一般的な市民に密着したギャラリーだ。横浜美術館は国や学術、芸術レベルまでも網羅する高等研究、収集機関の役割が大きい。こちらは横浜美術館では目の届かない、小さな目線で、見落としてはならない地域の文化遺産や歴史芸術文化の収集物を所蔵している。目線を民衆に合わせてくれる、背伸びをしないで美術を味わえる社会教育施設である。学童や中高生徒、大学の学生などの作品も展示してくれる、見た目も立派な美術館である。伊勢山皇大神宮さんの斜め向かいなので、横浜や神奈川の人なら、一度は前を通ったという人も多いのではないだろうか。
 CP+が終わっても、その時期に合わせて、それよりも少し長めに行うイベント、写真月間のフォト・ヨコハマはまだ続く。以前にもご紹介しているのでここで改めて紹介するまでもない。……が、手短に言うと、横浜の町全体がフォトギャラリーとなって写真展示を行う横浜の町ぐるみ全体の写真フェス。そう言ってしまっても、あながち間違いにはならないくらいだ。みなとみらいや関内、桜木町周辺の美術館やギャラリー、博物館などがこぞって写真展示を行うことになっている。それぞれ会場には報道、芸術、ポートレイト、ネイチャー、歴史的古写真などジャンルも多彩に展示される。
 そんなフォト・ヨコハマの小さなタイアップの一環として、市民ギャラリーが所蔵する絵画展・写真展の「写真と素描でたどる横浜」という展示会がこのギャラリーで行われていた。期間は二〇一八年三月二日から十八日の開催期間だった。
 ただし今回はこの絵画・写真展の単なるPRをしたいわけではなく、この展示会の解説を行う「鑑賞サポーター」というユニークな取り組み、システムをご紹介しようと思う。
 外側から眺めているだけでは、実感もないので、今回は実体験として、実際に鑑賞サポーターとしてギャラリーの作品解説にも携わって参加させていただいた。
 この鑑賞サポーターになるには特に資格はない。公募チラシに明記してあるのは「13歳以上で本活動に興味と意欲のある方」ということと、「事前研修に参加可能な方」ということだ。
 一月から始まるこの研修では、最終的におおよそ十三名が参加した。第一回目、最初の会合では、各自の自己紹介と、展示会の来館者の前で自分が解説する作品を選ぶところから始まる。いくつかの候補作品をみなで確認して、各自の希望を絞りながら選んでいく。各々が調べられそうな作品と希望が合致すれば終了である。多少の妥協があってもいい。そうして私に割り当てられたのが、奥村泰宏という写真家の作品。<米軍家族 伊勢佐木町一丁目>という1950年の作品だった。
 さほど作品に対しての好みなど、こだわりはなかったので、素直に「自分のはこれか」というレベルの割り当てだった。後は、資料などもおおよそはスタッフの方々が用意してくれている。それで足りない部分は自分で補ってもいいし、用意されたもので何とか間に合わせる人もいる。それぞれの個人的な知識、キャパシティや機転、時間の有無等の様々な事情の違いもあるので、この辺りはなにがベスト、ベターとは申し上げられない。皆が出来る範囲でいいということなのだろう。
 主題対象も決まり、資料もそろった人からまずは展示会場に置いて配る「作品紹介シート」、要はレジュメや要約の類の印刷物の原稿作成に入る。こちらは印刷物ゆえ、文字数指定の短文である。それが終わると、実際に作品の前で説明する発表原稿の作成である。発表の所用時間を想定して、それに相当する文字数を考慮しながらの原稿作りとなる。
 これらはみな作業に慣れた担当スタッフが相談、校正や確認などを事前に行ってくれるので、それほど難しく考えることはない。もちろん持ち帰りの作業の人もいる。参加者の中には前年の参加者もおられて、「主婦でもなんとかできちゃいました」なんて皆に心強い追い風を送ってくれる人もいた。
 持ち時間はひとり五分と、一般の人にも負担にならない時間と学習量である。また今回のテーマなら横浜が好きな人には、内容勝負で少し自信が持てるかもしれない。これらの一連の作業を、ワークショップの教場を使って一通りこなす。最後の回のミーティングで、実際の時間などを計りながら発表の予行練習をする。あとは展示会当日の本番というわけだ。
 私の所感としては、とても親切な講座という印象だ。ここでなぜ私が講座という言葉を使うかというと、一人ひとりをしっかりとサポートして、毎回毎回、原稿の完成まで面倒を見てくれるからだ。見る角度を変えれば、社会に出ると、日常触れることの少ない初歩的な教養分野の文章や調べものを教えてくれる講座とも見える。しかも受講料などは一切かからない。割と少額の五百円や千円程度の参加料や受講料を負担してもらう講座やイベントは、公共施設、社会教育施設には結構ある。完全に無料で、ここまで手厚く補助してくれるというところに、このイベントの意義があると個人的には思う。タブレット端末を使う環境を持っていた私には、PDF原稿に赤入れして返信していただいた。これには大変感動したことも、私個人の見解として付け足しておきたい。もちろん紙の原稿の方には、それに合った確認作業をしてくれているはずである。
 こうして作り上げた原稿で三月十日に私は作品鑑賞の案内を、来館者の前、無事に発表を果たせた。形式はギャラリーツアーで、エントランスに集合した来館者をスタッフが誘導しながら、持ち場の作品の前で皆が順に発表していくものだった。
 もしご興味をお持ちの方がいらっしゃれば、定期的に行っている制度のようなので、横浜市民ギャラリーにおたずねいただきたい。スタッフは皆親切で、気を遣って接してくれる方々だった。私が参加した今回の構成メンバーは、大学生の方からリタイア組のご年配の方まで多種多様なお立場で、六対四、ないし七対三の比で若干女性が多い気がした。つまり男性の参加者も結構いらっしゃると言うことだ。
 さてようやく写真展発表の概要である。「写真と素描でたどる横浜」の会期も終了して、貴重な横浜の美術平面作品の展示を満喫できた。奥村泰宏、初めて知った写真家だったが、良い味を出す終戦直後のモノクロ作品をたくさん残している。もし見逃したという方のために写真集を数冊ご紹介しておくので、興味のある方は図書館などで探してみてはいかがだろう。会場に置いていたリーフレットの私の拙い解説文もこれらを一部参考にしている。

参考資料
奥村・常盤共著 『戦後五十年 横浜再現』 1996年 平凡社
奥村泰宏 『敗戦の哀歌』 昭和56年 有隣堂

 おまけとして、同時期開催の本年のCP+の画像も少しアップしておくので、何かの参考にしていただきたい。ちなみに今回のCP+は、私は平日参加だったが、アネックスの中古カメラコーナーが大盛況で驚かされた。ああいうイベントは百貨店だけのお家芸かと思ったが、なんのなんの、メーカーのアウトレットのコーナーなどは人だかりで、私の入る隙間はなかった(笑)。
 ギャラリーを楽しむ方法や生涯学習を楽しむ方法は自分なりに考えて、探してみるといろいろなものが見えてくる。また楽しい学習活動や鑑賞活動に出会えることを生活の糧に日々をがんばろう。

※展覧会会期終了のため一部写真展のPR本文の文章を差し替えました。(2018/03/20)


横浜市民ギャラリー  http://ycag.yafjp.org/


横浜市民ギャラリー 鑑賞サポーター応募チラシ
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横浜市民ギャラリー 「写真と素描でたどる横浜」作品紹介シート
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CP+ キヤノンブース
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CP+ ソニーブース
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CP+ オリンパスブース
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