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69 素人の舞楽見物の話 その1 [まつり見物の話]

 このゴールデンウィーク付近は、伊勢神宮を筆頭にいろいろな神社で舞楽を楽しむ事が出来る季節だ。春と秋に多い。奈良の春日大社はそれ以外でも見ることが出来る。以前No.45の記事でも祭りの種類の一つとしてご紹介した舞楽。今回は舞楽のみに主題を絞って書いてみたい。もちろんいつものごとく私はこの専門家ではないので、素人が祭り見物に行ったというお話である。そして少しでも多くの方が、祭りの楽しみ方やたしなみの一つとして、見て頂けると嬉しく思う。そんな気持ちで参拝や見物が出来ると歴史や伝統文化の意義、存続に繋がると考えている。
 まずは45回記事の復習もかねて、基本から始めよう。私がお邪魔した神社では、伊勢神宮を筆頭に、多くが四演目のプログラムが多い。その際には一番最初が、「振鉾(えんぶ)」という舞台を清める鉾を持った左右の緑と橙の衣装を纏った演者がゆっくりと舞うものである。でも熱田では紫色の衣装の舞人を見た。
 次に四演目の場所では、女性の舞手の代表的な演目として、「迦陵頻(かりょうびん)」や「胡蝶(こちょう)」などが二番目、三番目の中程に持ってくることが多い。これはお稚児舞から派生とも言われている演目である。優雅な女性舞なのでファンも多いと聞く。ただし最近はこのほかの演目にも女性の舞手はいたし、あるいは楽人の女性の活躍も目に付くので、「迦陵頻」等以外の演目に女性が皆無ではない。
 二、三番目のもう一枠は、私の記憶ではあるが(当てにならない? 笑)、面ものや男性の四人舞などもここに持ってくることが多い。知る限りでは「春庭楽(しゅんでいらく)」、「蘇莫者(そまくしゃ)」、「打球楽(だきゅうらく)、「還城楽(げんじょうらく)」、「抜頭(ばとう)」、「延喜楽(えんぎらく)」、「納曽利(なそり)」、「貴徳(きとく)」、「八仙(はっせん)」などを見せていただいた。これらのほかにもたくさんの演目があるのは、いうまでもなく、その年のその場所でどんな演目が用意されているのかも楽しみの一つである。
 関東では明治神宮は演目を社報やお知らせなどの印刷物で事前に把握できる。屋外の秋の祭典なので、晴天の日であれば、大太鼓の美しさや高舞台での所作は素晴らしい。また鶴岡八幡宮では、その演目の御由緒なども記されている演目プログラムの印刷物を用意しており、公演の際に、配ってくれたり、社務所で申し出ればいただけるので、勉強にも役立つ。演奏者や楽器を間近に見れるのも舞殿で演奏してくれる鶴岡の特徴である。撮影の方はISO感度の性能のよい物を持って行こう。屋根付きの演舞殿のため、光量を補うためである。ほかに日光東照宮や大宮氷川神社では、例大祭で「東遊(あずまあそび)」を行っている。前者は観覧可能だが、後者は公開していない。この演目の衣装は白地に淡い色合いで見た目も美しいため人気がある。
 最後の四番目の演目は「長慶子(ちょうげいし)」という舞のない音楽だけの演目になる。重ねてになるが、笛の名手、源博雅作と伝わる名曲である。博雅の舞楽への影響は、楽譜の面にも残っており、現在伝わる舞楽の楽譜は、特に笛の類で、おおもとを辿ると貞保親王と博雅の二つにあたるそうである(平凡社 114頁)。
 楽器の分類も、西洋楽器のオーケストラ風に区分けしている。例えば、管楽器のことを「吹きもの」、弦楽器を「弾きもの」、打楽器を「打ちもの」とちゃんと楽器の用途や特徴によって分けられている。最近知ったことでは、笙(しょう)という楽器があるのだが、17本の竹筒が円形に組まれた吹きもので、竹の長さで音が決まると勝手に想像していたのだが、そうではなく竹の長さと音程はまったく関係ないということだ(同書 109頁)。
 目立つ楽器でいえば、色鮮やかな、しかも大きな高舞台の両側に置かれた大太鼓(だだいこ)である。おなかに響く超重低音な太鼓である。普通サイズの太鼓は、そのまま太鼓とよび、ひときわ甲高い澄んだ音でリズムを刻むのが鉦鼓(しょうこ)という。チンという風鈴のような金属っぽい風流な音が聞こえてきたらこの楽器と思って間違いない。
 ちょっと話はそれるが、また楽譜の話をついででもう一つ。ギターのタブ譜に近い表示の仕方が見られる琵琶の表記には、ギターのフレットに相当する柱というポジションの番号が記されていることも面白い(同書 116頁)。
 ほかに竜笛、琴などを従えて、楽人が古式ゆかしき装束をまとい、舞人のサポートをしている姿はなんとも凛々しい。
 江戸の名家、武家、公家などの家では、ひな人形の五人囃子の持つ楽器が、この舞楽・雅楽の楽器を持つものもあると知った(同書 50頁)。高貴な方々の鑑賞する舞だった事がうかがえる。だが庶民の私でも、現代には鑑賞できるのだ。ありがたいことだ(笑)。
 そんなわけでお約束どおり、まずは舞楽についての知識を簡単にど素人がご紹介。画像も過去の物で用意できる物をいくつか出してみたので、その雰囲気を味わってほしい(「抜頭」はフォトコンで入選させて頂いた作品である)。和楽器特有の歴史的な音を感じるのも楽しいものだ。毎年秋には伊勢神宮、明治神宮などでも鑑賞できる。賢者諸君の近所やお近くの神社でも演じている可能性は高い。地理的に行きやすいところをお探し頂きたい。
 そして古より伝わる古刹においても、かつての衣装などを鑑賞出来る場所がある。高野山、東寺、輪王寺や四天王寺にも衣装などが伝わるそうだ。浅学故、全て把握は出来ていないので、各自お調べ願えればと思う。文末に衣装についての参考図書を挙げておきたい。
 この記事を見て興味のでた方は是非見物に出かけてはいかがかな。祭りの楽しみ方の一つとして、こういう見学の方法もあるということだ。再三、お伝えしておくが、当方、舞楽とは何の関係もない素人の鑑賞客であり、撮影好きなだけなので詳細はその道に明るい方にお聞き願いたい。ではまた。

参考図書
『別冊太陽 雅楽』 平凡社 2004年
『日本の美術 4 舞楽装束 No.383』 至文堂 1998年


追記
2018年5月5日の鶴岡八幡宮菖蒲祭において希有な演目を鑑賞できたので追加で掲出します。
「青海波(せいがいは)」と「進蘇利古(しんそりこ)」でした。



高舞台 伊勢神宮
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和楽器 笙(しょう) 鶴岡八幡宮
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振鉾 明治神宮
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振鉾と大太鼓(だだいこ) 伊勢神宮
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還城楽 熱田神宮
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喜春楽 熱田神宮
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胡蝶 熱田神宮
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敷手 熱田神宮
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蘇莫者 伊勢神宮
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迦陵頻 伊勢神宮
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抜頭 鶴岡八幡宮
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貴徳 伊勢神宮
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楽人 鶴岡八幡宮
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和楽器 鉦鼓 鶴岡八幡宮
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青海波 鶴岡八幡宮
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和楽器 鞨鼓 鶴岡八幡宮
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進蘇利古 鶴岡八幡宮
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式年遷宮の折にアナウンスのあった伊勢神宮から譲り受けた社殿の工事が、横浜の伊勢山皇大神宮で始まった。新緑と拝殿の画像もアップします。

伊勢山皇大神宮の現在の様子
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