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71 私の好きなもの-文章と日本神話編 [少し真面目なお話]

 今回は文学と文章の話だ。文章が楽しいと感じたのは小学校の高学年である。図書委員を四年生から毎年やっていて、最後には図書委員長になって、図書室で過ごすことが多かった。図書室をねぐらにしていた。書棚の整理をしながら、楽しそうな本みつけをするのが委員の仕事の特権だった。小学生の時、ある程度、歴史や国語のテストがたいした勉強量でないことに反して、地方レベルとはいえ(展開する塾とか普及していない地域と時代である)、学期末試験などで高得点を取れていたのも、この頃読みあさった偉人伝や歴史図鑑などのおかげである(今はもう忘却に歯止めをかけることで精一杯だが・笑)。
 その後たいした経歴もなく、大学時代や出版関係(最近はPCの活字だけど)、教育機関のほんの隅っこのほうで、文字や本から離れることはなかった。むしろ、そのおかげ(おつり?)でまだどうにか生きている(笑)。あとまわりのお慈悲深い人たちのおかげも多々ある(感謝)。
 文字は単に伝達手段のための記号であり、サインである。音符が音を表す記号のように、文字は意味を表す記号である。
 しかし、その意味も集合体になると表現をなす。一般に文語では「文を紡ぐ」なんていう洒落た言い方があるが、まさにそれだ。そこに私は三つの役割が生まれると思っている。すなわち遊び、感情、知識である。
 遊びは、子どもが最初に出会うおもしろい文字遊び、言葉遊びが例えやすい。トンチンカンな言葉や駄洒落、さかさ言葉が面白かったりする。それの大人版が詩歌の技法などである。押韻や掛詞、重ね言葉など、まさにウィットに富む、贅沢な言葉遊びである。推理小説ならアナグラムになる。
 感情は、感動であり、想像である。それは物語や小説という表現方法である。同感、共鳴してもらえる美しい単語や慣用表現をどれくらい知っているかで、その人の文化的素養が判断され、読み手に慕われる。内容の良さだけでなく、文章という媒体にふさわしい表現方法を身につけた作家は愛されている。
 知識はターム、用語の類いを使って、名詞一語、連結するひと繋がりの漢字熟語でどうやってそれを伝えるかという勝負などである。報道や法律、学術などは、これのレトリックに長けた人が能力を持った人になる。そういう人は新しいテクニカルタームを駆使して、知の最先端を駆け抜けている。
 これらの才能に恵まれなかった文章好きの人は、いまここでこのブログを書いている(笑)。
 さて冗談はともかく、言葉や文字を愛する人たちはどこかで、気心が知れた仲間になるときがある。そんな人たちの集まりや講演等にたまに出かけると、「みんな難しいことを考えて生きているんだなあ」と己の無知さを感じて帰ってくることがある。今のところは、それが私の才能である。変な才能だ。
 文芸的には表現力の豊かさという意味で、そういう方々がよく使われる文語(現代文語であり、学校教育の明治時代の鴎外などの残した歴史文語ではない)を、幾つか例に出してみよう。
口語・夜になった時=文語・夜の帳が下りた頃
口語・深夜の静まりかえった町=文語・夜更けの静寂に眠る街
口語・子どもの頃に見た景色=文語・幼少期の追憶にある光景
 どうだろう。比喩、擬人も含めて格好良い言い回しである。でもこんな言葉を日常会話で私が使えば、「どっか具合が悪いのか?」といわれてしまうだろう。大文豪が使うからこそ「さすが」と賞賛の嵐になる。うん。不公平な気もするが、それが現実である(笑)。
 でも言葉を知っている人って、いつも羨ましく思う。それが文語であれ、慣用表現であれ、手紙文であれ、美しい日本語を流ちょうに操れる人は同じ日本人として、尊敬するものだ。最近はメディアなどで当たり前のようによく言う、「(処世術的な)上手い言いまわし」というのが社会的には羨望の眼差しのようだが、私は相変わらずズレているため視点が違う。やはり「美しい言い方」に憧れるのである。所作にせよ、声にせよ、旋律にせよ、言い方にせよ、美しさの中には品位があると思っている。この文章をカップ麺をすすりながら書いている私は、品位というガラでもなく、全く説得力がないのも事実である(笑)。
 さて美しい方の話を続けよう。日本神話と日本語の美しさを考えた国学者、三重県は松阪の本居宣長という人がいた。多くの人は学生時代に歴史や古典などで触れたことがある人物だ。とりわけ日本神話では『古事記』の大和言葉として、『ふることぶみ』を用いたひとりでもある。
 おそらく私が『ふることぶみ』、すなわち『古事記(こじき)』と学校では習う事の多い、この日本神話の物語に初めて出会ったのは、正確に記憶がない。気がついたら知っていた。……が、きっときっかけは、幼少の頃の絵本やテレビの昔話だと思う。それぐらい日本の生活に根付いた文化なのだと思う。いつからと訊かれるのが一番困る。本人も明確に記憶が無い。
 例えば、子どもの頃から知っているお話だと、「因幡の白ウサギ」や「天の岩戸」、「海幸彦山幸彦」、「八岐大蛇(やまたのおろち)」、「三輪山のお話」などだ。これらのお話は、どこかでいつの間にか耳にしているお話なのだと思う。もちろんこれら以外の神話なら、前述の図書室や、通い詰めた公共図書館などで仕入れた知識もあるだろう。
 こう言った物語の中の神さまに文学として出会おうと思ったのは二十代である。そして、物語と一体化して、文化として味わおうと思ったのはもっとあと、三十過ぎからである。おまえさん、今幾つだ、と突っ込まれそうだが、爺様までは行かないが、そこそこおじさんである(笑)。
 さて神社さんのご祭神としてではなくて、物語として読んだ場合、どの神さまが、登場人物としてはお気に入りかというと、大国主命が気に入っている。優しくて、けなげで、ユーモアもあって、盟友の少名彦との友情、老若男女からのモテモテぶりが好きである。しかも不思議なことに彼に意地悪した人はみんな天罰を食らっている。またピンチの折には、姫神たちがみんな助けるといううらやましさ。モテモテなところを除けば(私には無理という意味だ・笑)、国譲りの潔さ、友情、親切、優しさなど自分もこうありたいと思わせてくれる性格だ。
 同じ出雲系だと、その前の世代の素戔嗚尊がダントツで格好良い。箸の流れから人家集落を見つけ、八岐大蛇の生け贄になりそうな櫛稲田姫を助け出し后に迎え、あまりに好きすぎて誰にも見せないように家に竹垣作って閉じ込めて、和歌まで詠んでしまう。倒した八岐大蛇からは天叢雲剣を手に入れる。ジャパニーズ・クエストもののヒーローである。ここまで格好良い男気はへなちょこな私には無理だ。しょってみることも出来ない。ジャパニーズ・クエストはもう一柱、日本武尊という神もいる。こっちは悲劇のヒーロー、浦賀水道に入水した妻のオトタチバナヒメとともに判官贔屓の人たちから愛されている。
 ちなみに素戔嗚尊、櫛稲田姫、大国主命、少名彦は、出雲大社に行けば、お祀りされている。文学メインの私流に言えば「お会いできる」場所だ。また関東ならさいたま市の大宮氷川神社にいけばお会いできる。
 奈良の大神神社では、大国主(大己貴神)が盟友少名彦と一緒に祀られている。そうめんもおいしそうだ。このそうめんは大神神社と縁が深く、大田田根子命(『古事記』では意富多々泥古と書いてある)とその末裔が飢饉救済で生み出した縁起物である。ちなみに松尾大社と並び大神神社はお酒の神さまでもある。また文頭の神話の話、糸巻きが三回分だった事から三輪であり、神の使いが蛇なのも有名だ。そして特筆すべきは、本殿を持たない神社で、拝殿からご神体の山を拝むという、神社の最も古い形態をあらわしているのである。
 不思議な神さまとしては、高御産巣日神という造化三神のひと柱の神がおいでになる。天照大神に神勅を下す神だが、言葉を与えるだけで特徴、風貌などは描かれていない不思議な神さまである。
 またオキナガタラシヒメ、つまり神功皇后も凄い英雄である。身ごもった御子である応神天皇を携え、戦に出る婦人だ。その神勅は住吉の神々からのものだった。そのため今日でも御子が主祭神の八幡宮や神勅繋がりの住吉神社に祀られている。
 しかしなんといっても、伊勢の内宮、神明系アマテラスさまが物語の中でも輝いている。お隠れになれば、世界は闇である。日食状態だ。いくら夜の国にはツキヨミさまがいると言っても、ずっと夜では困る。それはうずめの舞姫、天手力男命も必死に呼び戻すというものだ。高天原の神々の世界を一手に引き受け、皇室祖廟の地位も憧憬の念に値する。
 いまでも時々講談社学術文庫の『古事記』の上中下巻をボーっと眺めることもある。考えないでただ眺めているところがいかにも私らしい。分からないことがあると、この本に戻る。勿論、専門的に読むわけではないから、素人の分かる範囲での用語と口語訳しか見ない。でも一般的なことにも、とても役立つ本である。ただし調べた先から忘れていくところも、我ながら立派だ(痴れ者である)。
 こう鑑みれば、国学と『ふることぶみ』、本居宣長公がおっしゃった『古事記』を主とする日本神話ファンということかも知れない。些かファンというにはおこがましい程、私は物を知らないのだけれど……。しかしいつから、という最初の問いには、やはり幼少期から好きだったと、いうオチになる。そして明確なデビューの年齢も定か出ないということになる。あどけない日本神話好事人の話と思って頂きたい。自分では意識はないが、その延長線上に祭見物もあるのかもしれない。
 次回は久々、横浜の花巡りに行きたいと考えている。ではまた。


飾る写真がないので、話題になった本の表紙を並べて画像にした。ではグッドラック(幸運を)! 神社のお話だけに開運を!

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