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02 写真ギャラリーめぐり-「鑑賞-その一」 [写真 ギャラリー]

 なんとか気力が続いたので第二回目を届けることができる。前回お知らせしていたように「鑑賞」についての話だ。ここでは前回の区分け③の社会教育施設と①のメーカー系ギャラリーを例にとっての「鑑賞」を見ていこう。二回に分けるので、今回は③の社会教育施設のひとつである写真美術館とその周辺の鑑賞環境についてを見ていきたい。
 こういった場所では名作と言われている大家の写真展をたえずどこかで間をおきながら行っている。例えばわたしがそのカテゴリーに入れるのは、写真史に名を残す木村伊兵衛、植田正治、土門拳、入江泰吉、秋山庄太郎、名取洋之助、福原信三、星野道夫、前田真三などである。もちろんまだまだいらっしゃるのでこれらの方々はほんの一例だ。これらの巨匠の域にある写真家たちの作品をわたしたちは、どこかで、またなんらかのかたちで、その実物やオマージュ作品のいくつかを見ているはずである。不肖ながらわたしが少しばかり例を挙げると、植田正治なら砂丘の上に不自然に正装した人物を配置してモノクロームの世界観を作り上げたり(海外で言われている「UEDA-CHO(植田調)」である)、前田真三なら美瑛やその周辺にある花畑を幾何学的、かつランダムに万華鏡の世界観のように構図をとったり、緑川洋一なら海を走る船舶が黄金時間に七色のプリズムが発した影絵のようになる瞬間の風景、入江泰吉なら大池からいい角度を狙った西の京地域の奈良の古都風景等である。他にも土門拳の山居倉庫、星野道夫のシロクマの戯れ光景も繰り返しオマージュされている作品だ。使われているのは旅行会社のポスターだったり、アパレル業界の広告だったり、写真関連産業の広告だったりと幅広い。知っていると思わず「あれだ!」と誰かに教えてやりたくなる自己満足に浸る。とにかくわたしたちの目に触れるところまで広告という媒体を使って名作と呼ばれる作品の構図、雰囲気や臨場感が伝わってくる時代になった。
 わたしの十代のころは(そうはいってもそんなに歳をとっているわけではないが、すでに若者でもない。微妙だ)、まだ写真史の本というとフリーチェ・ベアト、上野彦馬、下岡蓮杖などの幕末の志士や文明開化と重なった部分にスポットがあたっていて、それらのイメージが先行していたため踏み込むにも勇気のいる重層な扉の向こう側の世界であった。MF一眼レフ華やかな時代、「ピカピカに光って」いた時代だから、その頃の先端機材と写真史のギャップは大きい。それくらいベアト等は威厳のある写真師であり、写真史という一分野よりも歴史上の人物というイメージだった。…とわたしは思っている(これに頷く方は同時代の経験者であろう)。まあ時代的にも、先に述べた写真家の方々はまだ大半がご活躍の時代だったということもあろう。名取や木村(もう歴史上の人物になられた方々なので敬称はつけませんよ。逆に統一的でなくなり変になりますから)は、現代の写真家という、ギャラリーと密接に結びつく作品を世に提供し続けた大家の第一世代とも言えるだろう。この辺の時代にまつわる話や作品については飯沢耕太郎さんなどがお書きになっている数々の本に載っているので是非参考になさってほしい。
 話をギャラリーに戻すと、そういった著名な写真作家の作品は、例えば植田正治、土門拳、入江泰吉、前田真三などは常設で作品を鑑賞できる専用の写真美術館が存在する。つまり機会さえつくることができれば、いつでも巨匠の作品と会うことができる。そして場所によっては、作品だけでなく、使っていた撮影機材や暗室の機器なども展示されている。またこれらの写真美術館が中心となって、移動特別展を行うこともあるので、展示作品のほうから我が町や近隣の町にやってきてくれることもある。
 一方で東京都写真美術館や横浜美術館のように、多くの写真作家の作品を一堂に所蔵してくれている公共の社会教育施設もある。これらの美術館のいいところは、幅広いジャンルにまたがって揃えられた写真に関する図書資料の閲覧なども可能になっていることだ。さらに一部の美術館では許可さえとれば、手を触れない、フラッシュ禁止の条件で展示品の複写も可能なものもある(全部ではありませんからご注意下さい)。高感度に強いデジカメの本領発揮の瞬間である。またミュージアムショップにも写真家の写真集や随筆、二次文献なども常備されているため、入荷待ちをせずに済んだり、複数の書店を回る手間が省けることもあったくらいだ。先に述べたような巨匠たちの過去の企画展の図録なども残部があれば販売しているサービスもありがたい。ギャラリーめぐりの暇つぶし族にはまさに理想郷なのである。いろいろなギャラリーの散策方法があるが、当然主宰者との様々な交渉は自己責任だし、思いやりや節度のある対応、無理強いをしないという紳士的な対応ができるかただけに許された特権であることも覚えておきたい。くれぐれも「自分だけが」などという偏った心意気はこのような場所では控えることである。皆の公共施設、社会教育施設なのだから。
 さて次回はたぶん来年、二回に分けた「鑑賞」の主題の第二回目をお届けしたい。①のメーカー系のギャラリーの場合である。再々で申し訳ないが、書く気が続いていればのお話である。なにぶん気まぐれなので翌年全てが来年という解釈も成り立つこともあるのであしからず。(笑)
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補足 2014年現在、東京都写真美術館は2016年秋まで約二年間のリニューアル改装のため休館中です。
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01 写真ギャラリーめぐり-序 [写真 ギャラリー]

 ブログを始めるにあたって、なにが人さまのお役にたつのかなどと殊勝なこころがけを目指そうと思ってみた。ひとつは生涯学習の一環として、写真撮影を続けている社会教育施設のひとつ植物園のこと。もうひとつがギャラリーの散歩見聞録だ。写真撮影や社会教育施設の知識は、わたしよりも豊富なかたは星の数ほどいることだろう。しかもそういった分野については、理論や知識に精通したもっともなご意見をお持ちのかたが述べるにふさわしい。わたしような路草、散見の視点からというのであれば、ギャラリー散歩のほうが適している。気軽に写真作品を求めて退屈しのぎにお邪魔するギャラリー訪問族のわたしにもチャンスの端くれぐらいはありそうだ。
 わたしの訪問のスパンは多いときで三ヶ月から四ヶ月おき。年に三回から四回ぐらいだ。もちろん急遽きまった個展や特別展はこれには入らない。そのような特別なものは、この主題の枠外であり明らかに目的として訪問するものだからだ。散策とは言わない。
 行ってみたい個展などは、事前にカメラ雑誌のギャラリーコーナーやウェブサイトを使って調べる。興味のあるものを幾つかピックアップ、羅列して、より多く興味ある作家さんの個展が重なっている日を見つけ、その中で自分の時間がとれそうな日を照らし合わせる。オープンとクローズの時間や移動のしやすさ、所要時間などを考慮に入れて、その日のメインの移動手段をJR線か地下鉄線かを決める。たまたま新宿や銀座などに集中しているときはこの限りではないのだが、目的の場所が散在している時はメインの交通手段を決めて、自由切符などを購入しておくとお得なのである。ちょっとした観光気分だ。
 わたし個人の観点だが、ギャラリーを訪れる際にはギャラリーのグループ分けが幾つかある。その主な二つをご紹介すると運営母体別のグループ分けと展示分野の守備範囲別のグループ分けだ。何度もお邪魔しているうちにこれは自然と経験や習慣としてなじんでしまう。前者はわりと皆が見分けやすいし、雑誌のスケジュール欄などにもこれで分類されていることも多いので、知らず知らずに覚えている方も多い。ただ一応、ここでは二つ挙げると提示しているので、体裁を整える意味からも簡単には済ますつもりだがあえて述べていく。
 以下はわたしの便宜上の区分けであり、ほかの分け方がたくさんあっていいし、人の数だけあって当たり前である。順に、①カメラ、レンズ、フィルム、プリンターなどのメーカーが運営するギャラリー。②ラボや出版社、カメラ業の小売店などが運営するギャラリー。③百貨店、銀行、生涯学習センター、公民館などの公共の施設や公益性のある店舗のもの。④カフェギャラリーと称する専用スペースを提供してくれる店舗。⑤営利母体として、スペース貸しをする民間ギャラリーである。
 足を運ぶのに、入りやすさで言えば①から⑤番の順であり、知り合いの個展などでないと足を入れるのがすこし勇気のいる度合いで行けば⑤から①ということになる。この区分けは以後わたしのブログのギャラリー説明の基準になるとおもうので、頭の片隅においていただけると幸いである。もちろん飽きずにこのブログが続いていたらのはなしである(笑)。
 後者の区分けはギャラリーの専門性ということになる。見学側の論理ではなく、主宰者の目線なのであまり気にしなくてもよい話でもある。おおざっぱなところでは写真だけか、それ以外も受け付けてくれるかという趣旨である。写真だけを扱うギャラリーはもともとピクチャーレールも固定されていたり、ガイドレール付きのスポットライトも固定で設置されている。個展を行う側からすれば規格に則ったステレオタイプの展示をしたい人には、手間がかからずありがたい場所である。多少の位置修正程度で本格的な展示ができる。裏を返せば、独自性をもった作家さんには大幅な改造が要される場所ということになる。まあ、本文では見学が目的なのでその辺の話は割愛したい。他にも区分けのカテゴリーとしては、展示内容の被写体のジャンルによっての許可が出るギャラリーや一見(客)さんやアマチュアさんにはチャンスの少ないギャラリーというのも存在する。したがってわたしもその辺はほぼ知らない。ただしそれは開催者側の使用許可の話であり、わたしのようなギャラリー散策の者は客であるため、ほぼウエルカムなことが多い。
 そんなことを頭の片隅に置きながら、それぞれの休日や非番には東京ギャラリー散策にお出かけになってはいかがだろう。意外にもお気に入りの作家先生からフランクなお話が聞かせていただけることもあるかも知れない。イベントなどでは壇上の人になってしまう先生方が笑顔で横にいらっしゃる至福の時間も運が良ければ可能である。そんな幸運を願って、グッドラック! (写真だけに「ネガって」と「願って」をかけてみた)
 もしブログを書くことに飽きていなければ次回は「鑑賞」をテーマにしたい。まだブログの機能や使い方もおぼつかない部分は申し訳ないがご容赦願いたい。
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社会教育施設併設ギャラリーでの拙作展
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