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06 写真ギャラリーめぐり-「カフェギャラリー」 [写真 ギャラリー]

 今回はごく一般的な視点で写真ギャラリーめぐりの際の街角にあるギャラリーについて述べてみたい。テーマは「カフェギャラリー」。例えばギャラリーカフェ、カフェギャラリー、またギャラリー喫茶と称する飲食店だ。専用の展示ホールを持った専門ギャラリーとは異なる。
 ごく一般的なこぢんまりとした喫茶店を想定して欲しい。そこからさらに想像を膨らませると大枠で二つのカテゴリーに分けられる。実はこれ、どちらに重きを置いているかで実体は大きく変わる。私の経験上、ネットや雑誌の記事を頼りに足を運んでみると以下のように感じたことが多い。
 まずはカフェが主体の喫茶店のホールの壁際や一角を小さなギャラリースペースにしている場合だ。コーヒー一杯(これは言葉のアヤで、懐具合が許すときはもう少し注文してあげて欲しい)で五から十五作品程度のスタイリッシュな写真展を堪能できると得した気分になる。サイズもキャビネや六つ切り程度の小品を基準にしているところが多い。最近は家庭用プリンターの普及でA4サイズがOKになったところもあるようだ。
 そんなギャラリーのひとつでの訪問の記憶だ。もう随分前、十年以上前の話である。展示作品は作家さんのお気に入りの愛らしい小物風のフレームに飾られていて、ポストカードにした作品や作家さん(といってもその時点では職業写真作家ではない。本業はイラストレーター? だったかと思う)が焼いたクッキーなども置かれていた。実は私はこういったアットホームな作品展に出くわすとラッキーと思う。一昔前はこういった趣味と仕事を兼ねて、生活の一端として、自分らしさを表現するのを一つの手法としての写真作品が多くあった。だから同じスペースでテーマに則したポストカードやリーフレットを置いたり、内容によってはクッキーも焼くし(例えば主題が雪なら雪の結晶型のクッキーとか)、手芸品も売っていたりする。ささやかながら文芸融合という感じだ。真実を求めて「撮りたいものを撮る」っていうのが基本で、「理屈はあとあと」という時代のお話(この手の概念、日本の文学なら自然主義、ヨーロッパ絵画なら写実主義でいわれている理屈に似てるかな? 一部アーツ&クラフツ様式の生活感も入るけど)。でも堅苦しくなくてこういった考えも今の時代には悪くない。なんでもかんでもマニュアル通りが求められるこの時代だから、お行儀はよいけど小さなこだわり、アピールが光った時代の作品も懐かしいのだ(笑)。
 話を戻すと、その一角で販売されているお手製のアイテム。それも数百円で(一部場所によっては販売物の売り上げの数割を作家がお店に払うシステムになっている)。これが写真展と連動した小さなアピールなのがほほえましかったりする。ここには作家さん自身儲けようとか、撮影技法を見せてやるといったアピールは存在していない(そうはいっても、それなりに独学にしろ教室にしろ学んではいると思いますよ)。本当に写真が好きで生活の一部なんだと感じるのである。だから作品の視点も作者の時間の一部を切り取るやわらかいものが多い。ちょうどミラーレスEOSのCMで美しい女優さんが「時間を瞬間冷凍するんだよ」のような感じの台詞を言っていたのだが、あれに近い。全てを写真に結びつけるような一本道的なギラギラ感や見せつけるような圧倒感を持つ富裕的要素もない(この類が悪いわけではない。後述、もう一方のカフェギャラリーのタイプの主役となる作家のタイプはこっちだ。皆一様に長所短所はあるものです。勘違いしないように)。ナチュラルなのだ。詩歌的というか、文芸的というか、いたってシンプルに人間的なのだ。ごくありふれた喫茶店の壁際にライフスタイルが写真を通して見え隠れする。この手のお店はそんな作家さんを演出してくれるのにもってこいの場所というわけだ。だからジャンルも風景、自然、スナップ、料理、小物などの物撮り、ペット、きらきらもの(ハイキーなテイストの抽象的なもの)などが多い。
 ただご時世なのか、この手のギャラリーは都心部では減ってしまった。以前は本郷や白山のあたりにもいくつかあった。残念。しかし下北沢、阿佐ヶ谷、三軒茶屋、表参道や渋谷の裏路地、そして吉祥寺といった学生街の香りやアートな雰囲気のする町の町外れにはまだまだある。
 次にもう一方の後者だ。ギャラリーを主体としているが、コーヒーも飲めますよといった店構えだ。こちらは本気の人がやってくるので、ひやかしでは入りづらい。ただしこの手のギャラリーで個展をやっている場合は、明日の大先生の卵である可能性が大である。何しろ本気だからだ。私は若かりしころビッグサクセスを夢見るような性分ではなかったので、その意気込みを本当の意味で理解することはできないのだろうが、たまにそんな夢と野望に満ちあふれたアグレッシブな写真展に出くわすと「若者っていいなあ」と本音が出る(笑)。重装な機材と精通した知識、なによりも若さと気力で成し遂げようとする意気込み、それをチャンスに変える力が素晴らしい。なにもない無機質な部屋(展示室)を写真という作品群で自分の色に染め上げているアーティスト魂に敬意を表さずにはいられない。こちらは詩歌的、文芸的な前者に比べて、私の目には職人的に見える。アルチザンなのだ。したがって明暗くっきりのアートな作品や主題のはっきりした作品、報道取材的であるもの、モードを意識したもの、アバンギャルド(前衛的なもの)が展示されることが多い。どちらかといえば文芸的な視点で見る機会の多い私の嗜好性だが、こうした思いもしない衝撃に出逢うのもたまには悪くない。自分の知らない世界を教えてくれる若き作家先生たちに感服させられる。この類のカフェギャラリーは青山、銀座、新宿、六本木、原宿界隈の繁華街に多い。勿論例外もある。あくまで目安だ。
 ちなみにギャラリー訪問族(鑑賞側の人間)にはあまり関係ないが、利用料金の目安としては、前者のようなカフェギャラリーは、立地場所にも寄るが、安いところは一週間で四、五千円からある(探せばの話である)。平均は一、二万円程度とみておけばいいだろう。ギャラリーで生計を立てているわけではないので、副収入的な色合いが強いのだろうか。これは素人目で見た感じに過ぎないので、本当の事情は知らない。対して後者は最低でも三、四万はするだろう。平均的には七、八万円が相場のようだ。もっと高級なところもある。本格的な設備も整ってのことであるから。そしてこれ以上の金額となるとプロフェッショナル御用達に近いものになり、カフェギャラリーと呼んでよいのか戸惑うところだ(コーヒーを飲めるのだからカフェギャラリーだという声があれば、それに同意せざるを得ない-笑-)。
 一口にカフェギャラリーと十把一絡げにしてしまう私たちだが、実は同じ名称のギャラリーでも全く異なる性質が潜んでるし、入りやすさや個展の開催のためのニーズによって全く違うということだ。どちらの毛色も私には偶然の出会いを用意してくれるおもしろさがある。ただこれはあくまで傾向の話で、私がいうところの文芸的なセンスを持つ作品が後者で展示されることだって当然あるし、その逆だってしかりだ。いずれにせよ、世間に名前も知られてない無名な作家が自分の心になにかインパクトをくれるときもあるのだ。会場装飾は大イベント展のように大金をかけてはない、洗練もされていない、だが手間を惜しまない純粋なひたむきさに惹かれる本来の姿と言える個展がそこにはある。これだからギャラリーめぐりはおもしろいのである。
 ちなみにこれらのカフェギャラリーを考察する視点は私が感じ取ったものであるため、別の観点で見る人もたくさんいらっしゃる。数あるカフェギャラリーに対する見識のひとつにすぎないと思っていただけると幸いである。ではまた次回まで。「アディオス」と洒落てみる(読んでくれた人たちに「愛でおわす」と「さよなら」いう意味を掛けてみた―笑―)。

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カフェギャラリーでの拙作展(壁面の一部)
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05 写真ギャラリーめぐり-「イベント会場(CP+を例に)」 [写真 ギャラリー]

 誰も待ってはいないと思うが一応「お待ちどうさま」と申し上げておく。今回は写真イベント会場などについての訪問、鑑賞である。写真イベントといっても一概に一様に取り上げるというわけにも行かず、風呂敷も広げないうちから内容の大きさに戸惑っている。したがってこれは解説形式ではなく、体験談で行くことにした。あくまで私が知っているもので、今はプログラムや趣旨が変わってしまっていても、そこはご愛敬と言うことでお願いしたい。そしてイベントに関しては、私の知らない部分がとても多く存在しているので、ご自身の目で確かめることをお願いしたい。本文はほんのガイド役ということで。
 私が知っているイベントの類は、もう二十年近く前のカメラ雑誌のイベント、チェーン店系列のカメラ店のイベント、五年近く前の新宿のカメラ専門店系のイベント、そしてそろそろ季節的に話題になってきたCP+(「シーピープラス」と読む)とフォトネクスト、夏頃の東京写真月間のイベントなどが挙げられる。また新製品発表会もこれに準じた楽しいイベントであるし、各カメラメーカーのフォトクラブ(CPC、ニッコールクラブとかFotoPusなどの類です)開催のイベントも参加者に楽しみをくれるイベントである。今回はギャラリーと合致する部分とそうでない部分もあるが、カメラと写真を楽しむという大枠の意味でこういった写真イベントを取り上げたいと思う。その全てというわけにもいかないので、ここではCP+についてを取り上げよう。今回は私個人の体験談に過ぎないので、一般的なセオリーではない。したがってお散歩日記のような内容であり、ほぼ主観ということになるので申し訳ない。先にお断りしておく。
 私が初めてCP+に行くようになったのは、東京ビッグサイトで開催されていたイベントで、その前身となるPIE(フォト・イメージング・エキスポ)であった。内容は現在のCP+とほぼ一緒で、写真館や婚礼写真などの職業カメラマン向けのブースが一部独立してフォトネクストという別のイベントへと分かれたと記憶している。そのPIEの最終回のときが初めてであった。感想は「面白かった」の一言。以来毎年CP+となって横浜に移動してからも楽しみにしている(一方のフォトネクストも一般の人がいっても楽しめるので、私は両方とも楽しめる)。各メーカーもこのイベントに合わせて、写真教室を開き、作品を会場に飾ってくれるなど連動しているようだ。
 そして会場内でもマクロ(接写)レンズで小物やアクセサリーを撮ったり、暗闇を高感度で撮ったりと写真教室も花盛りである。またレンズメーカーは会場内撮影のみの使用という制約付きだが、交換レンズの試写をさせてくれる。これはありがたい。メーカーだから直接の購入にせかされることもなくゆっくりと操作感や性能を満喫できる。とても嬉しい話だ。またボディ本体のメーカーは様々な被写体を用意してくれるので、連写やボケ具合(センサーの面積比)、感度設定の違いなどを確認できる。これまた嬉しい話だ。
 ここからがギャラリーの話になるのだが、CP+が行われる数日を挟んだ一ヶ月間は横浜の町はある種の「写真月間」となる。ちなみに今年2015年はなんと「フォト・ヨコハマ」のイベントは三月まで続けて四十五万人を集客するという都市型イベントとして開催のようだ。 市長自らがアピールしての開催である。CP+会場のパシフィコ横浜だけに留まらず、横浜美術館、新聞博物館、クイーンズモールなどもメインギャラリーとして写真を中心としたテーマで展示やイベントを繰り返す。町中がギャラリーと化すので、CP+の期間内は東京ではなく横浜でギャラリーめぐりが堪能できるというわけだ。広告写真、報道写真、芸術写真などジャンルも様々に市内の数カ所に分かれての展示となる。
 また会場内では希少フィルム、印画紙、プリンター、三脚などのメーカーもブースを出しているので普段は取り寄せ扱いで実際の商品を見る機会の少ない商品も説明を受けながら知ることができる。ネット通販派の方々には実際に手にとって確かめることのできるまたとない機会だ。もちろんカメラ雑誌の版元もバックナンバーを揃えて待機していたり、アウトレット商品の即売なども催される。
 前回お伝えしたような写真家のナマの声を聴ける機会、拝聴できる機会も多くあって、人気の写真作家先生たちもメーカーを変えて複数のブースを行ったり来たりして忙しそうである。もしお気に入りの先生の講演や説明会などがあれば、お邪魔してみるといいだろう。楽しい話が聞けるはずだ。これがギャラリーめぐりのこやしになる。
 歴史肌の人には半蔵門にあるカメラ博物館が出張ブースを構えてくれていて、蛇腹式の乾式や湿式の大昔のカメラ、ピンホールカメラや往年の名機なども展示してくれる。また殿堂入りしたような写真家の写真集なども取りそろえてあるので、そっちに明るい人には必見である。
 一方で写真に関する国際的なビジネスやアカデミックな会議なども時を同じく行われ、我が国が誇る写真産業と学術、報道といった真面目な分野の国際会議も敷地内で会期中に行われる。ロバート・キャパ、アンリ・ブレッソンなどのマグナム・フォト系の巨匠写真家の話題で盛り上がったコンファレンスも過去にはあった(もちろん同時通訳付きです)。拝聴したが、難しすぎて頭の中での処理が手に負えなかったことを覚えている(笑)。
 もし地方在住のカメラファン、写真ギャラリーファンの方で、この時期に東京見物や旅行を計画している人がいれば、CP+に日程を合わせてみてはいかがだろう。別に私はCP+に何の義理もないのだが(笑)、一度見物すれば圧倒されることの連続で、無駄足にはならない大イベントだと考えられる(ここはすこぶる客観的に申し上げています)。そしてメーカーが精力を注いでブースのコンセプトをつくったり、カメラ雑誌やネットの媒体がこぞって特集する理由がおわかりになると思う。一般の人からプロのフォトグラファー、写真小売店、評論家、研究者、開発者までが皆で楽しめる時間を共有できる場所であり空間だ。まだまだ北風の吹き付ける季節、防寒対策だけは怠らずに横浜近郊(期間中、中心部はたぶんすでに予約不可かもしれない)の宿泊施設をキープしてはいかがだろう。都合のつく方にはお薦めである。しかも横浜は被写体の宝庫だ。観光場所としても申し分ない。再三だがたいそう褒めてはいるが、CP+には何の義理もない(笑)。
 そういうことで今回はCP+を例に挙げてのイベントと写真鑑賞の下地づくりのお話になった。しかも貧素な私の体験談をメインとしている。最初に申し上げたとおり、毎年同じ催し物というわけではないので、ここに述べたメニューが今年もあるわけでは無い。ご了承願いたい。少しでもわかりやすくするための専門のサイトのリンクを文末につけておくので、今年のメニューはそこからご自身で確かめていただきたい。ちなみに入場料はWEBで事前登録しておくと無料である(下のCP+のリンクから登録できるはず)。では富士の冠雪が美しく見えるこの季節の横浜で幸あれ。

http://www.photoyokohama.com/2014/outline/フォト・ヨコハマのURL

http://www.cpplus.jp/CP+のURL

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過去のPIEとCP+の会場の様子
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04 写真ギャラリーめぐり-「個展」 [写真 ギャラリー]

 今回は私から見た「個展」を主題に取り上げる。もちろん鑑賞する側からの意見であり、開催する側の意見ではない。それが分かればギャラリーをめぐらず、腕もないのに個展をどしどし開いていることだろう(笑)。
 冗談はさておき、積極的にギャラリー巡りをこれから始めようというのなら、まず楽しみを見つけるには好きな写真作家を作ることも一つの方法だ。個展というのは作家が一人でやるから個展である。好きな作家を持つということはそれほど難しく考えなくていい。単純なことで、自分がいいと思えばそれが好きな作家になる。まあ理屈ではないといったところだ。風景が好きなら風景写真家を、海の中や魚が好きなら水中写真家を、動物が好きなら動物写真家をお気に入りにすればいいのである。
 私の場合、常に追いかけている(っといっても別に芸能人の出待ちとかではないです。個展や講演のスケジュールを情報源から探すという意味です)作家さんは十四、五名。これはもう白玉楼へと旅だった巨匠は除いての数字だ。正確な比率を考えたことはないが、自然と歴史文化などに関する写真作家さんの割合が多い。次いで夜景の上手な写真作家さん。地域に密着する作家さんの順だ。自然の分野は野鳥や動物、昆虫などを鑑賞することもあるが、基本は風景と植物である。歴史文化は建造物や町並み、お祭りなどが中心。自分が撮影するときのインスパイアー、ないしモチベーションに繋がるために選ぶことが多い。だからといってそれらの先生の作風をまねることはまずしない(児戯に等しいわが腕でできる代物でもないと言った方が正しい)。十代や二十代前半の若かりしころは同じようなものをつくろうと、腕もないのにまねようとして大失敗した笑える自分があった。身の程知らずである(笑)。
 話を戻すとこんな風に私の例のように、皆さんも自分の興味ある被写体があれば、その主題に則した写真作家の作品を見たいという衝動に駆られることもあるはずだ。鉄道が好きなら鉄道を、飛行機なら飛行機の作品を見たいというのがお気に入りを作る第一歩だ。ここで加えておきたいのが、それが決まったらすぐ個展に行くのではなくて、まずその作家さんのお話を聞きに行くことを奨める。あるいはその方のエッセイや経験談の入った書籍でもよい。何も下地のない状態で作品を見ても私のような凡人は「ふーん。よかった」と勝手にまとめてしまい、その場だけで楽しみが継続しない。決してそれが悪いわけではないのだが、長続きしなくなる要因になる。そうならないための下地固めである。散歩にだって手続きはあるのだ。
 実は写真作家の作品についてのお話をうかがえるという類の機会は、普通に考えているよりは意外に多い。ただし「序」の章でお伝えした写真雑誌で紹介してくれているイベントは、当然のことだが写真美術館、ギャラリーや百貨店での個展の催しだけだ。実はそれ以外にも一歩踏み込んで丁寧に調べると、締切後に急遽決まったり、小さな会場だったりする理由で版元まで届かなかったような情報もある。
 例えば写真関連のジャンルとは違うメーカーの催事、私のような花や植物の写真なら植物園での催事、園芸センターでの催事がそれに当たる。他に異分野の催事としては、写真集を上梓する際の書店などでの催事などもある。分野を横断して考えると結構な比率でお話をうかがえる機会は多い。またテレビ番組だっていいのだ。近年は映像資料も学習アイテムとして認定されているぐらいだ。これを逃す手はない。ほかにも私は明るくないが、ジャンルによっては鉄道の博物館や飛行場などでのイベントで講演が行われることもあるだろう。
 私が拝聴しに足を運んだ経験のある催事、講演場所は、野鳥センター、自然保護区や公園のビジターセンター、市役所庁舎、新製品などのイベント会場(これは後で章を設けます)、カメラ雑誌主催のイベント会場などもあった。しっかりと探せば他にもいろいろな場所で、貴重な講演を拝聴できる場所はあるはずだ。私が知らないため、ここでは挙げられなかったジャンルの作品をお撮りになる作家先生方のものはご自分で調べてみることは必須だ。
 こういった作家さんのナマの声やお話、記事を通して、その方の作風がほんの少し垣間見える。ほんの少しだ。またご苦労や人間味の部分も見えてくるとさらに鑑賞力に繋がっていく(気がする?)。同じ被写体を撮っているのに他の写真家の先生とテイストが違うなどとちょっと判ってくると個展にいくのが楽しくなる(私の場合は判った気になっているだけともいえるのだが)。とにかく楽しみは倍増する。プレーンにただ見て帰ってくるのと、知識の下地が少しでもあってお邪魔するのとでは雲泥の差がある。
 映画でも文学でもそうだが、作品にはテーマ(主題)がある。写真展にも主題がある。「ない」という場合は、ちょっとこじつけっぽいが、理屈の上では、「ない」と言うことがテーマになる(これは文学や映画などで使われる一般的によくいわれているセオリーからの代用である。請売りともいう)。ナンセンスやスラップスティックなどの小説や演劇がその類だ。写真やこの手の創作物では一貫性や統一性のない展示物群から鑑賞者がそれらをみて感じ取る概念にあたる。よく耳にする「鑑賞者に委ねる」という一見テーマ丸投げ的な発想にみえるあれである。その場の臨場感で面白いとかバカらしいと感じさせたことがそれだ。何かを感じてそこから読み取る中心的メッセージや思想が作品としてのテーマだからだ。ただし請売りと申し上げたのは、このセオリーは送り手(サーバー)としての作家と受け手(レシーバー)としての鑑賞者のメッセージの取り方が異なる場合が存在するため、あくまでも目安に過ぎないということだ。鑑賞者目線からの一方的な解釈であることも付加しておこう。
 さてこのようなややこしいお話はこれくらいにして、それ以前にこれとは逆説的なアプローチの仕方もありえる。意図的に見つけるのではなく、たまたま目について気になったケースである。楽しく作品を見てすぐに微笑んだり、圧倒されたり、感銘を受けてからその作品や作家さんの世界に入るということもありだ。そこで覚えた作家名や作品名から上述のような講演会の検索作業や情報収集作業を始めてもいいと思う。
 いずれにせよ、作家論の視点から入ることは個展を楽しむ大きな要素の一つだと考えてもよい。そして他の創作物と似て非なる部分も挙げておけば、フォーマルな手続きを必要とする文学や美術と違って、様式論(なにがし「主義」とかなんたら「時代」などと区分するあれ)による時代区分が少ない自由な発想で、気軽に作品の鑑賞を許してくれるというところが写真作品や写真個展の懐の深さと間口の広さと考えられる。好きな写真と好きな作家があれば個展を意味のあるものとして鑑賞できると言うことだ。
 ちょうどよい落としどころに行き着いたので今回はこれぐらいにしよう。少なくともこういったブログでお伝えすることができる情報として、スジの通ったお話をできる部分では、今回のこの手法しか拙い私の経験からは書けないし、思いつかなかった。お恥ずかしいしだいだ。もしこれが参考になれば、写真展、個展をまた違った角度からアプローチしてみて欲しい。これも個人差があるかも知れないので、役に立たなかったら平にご容赦いただきたい。
 では次回はイベント会場での作品鑑賞についてを考えてみたいと思う。もし次回もお暇があれば、どうでもよい私のよもやま話におつきあいいただければと思う。そしていつものごとく、書く気が続いていたら意外に早くお目にかけられると思う。そうでないこともあるのであしからず。
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追記 写真展めぐりに役立つサイト
写真展スケジュール一覧サイト
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03 写真ギャラリーめぐり-「鑑賞-その二」 [写真 ギャラリー]

 ありがたいことに、特に気分的高揚もなく淡々と書いているこのブログも三回目になり、「鑑賞」の主題としては二回目になる。淡々とこなしていることがモチベーションであり、書く気が続いていることの原動力である。それだけ他の要素がいらない魅力的な主題でもあると言うことだ。前回と比べてなにが違うのかというと、①に分類されるメーカー系のギャラリーの利点のひとつは、現在第一線で活躍中の著名なフォトグラファーの写真展入場の間口をひろげてくれて、あるいはチケットなしで気軽に鑑賞させてくれるというところである。いわゆる文化貢献というふうにも考えられる。
 ご紹介したい場所はもちろん都内にたくさんあるのだが、「鑑賞」という部分を主軸にするとおすすめは五カ所である。順に①紅白色のカンパニーカラーのカメラメーカーのもので、かつてのカメラファンの間での俗称は「下丸子」。名実共に皆が知っているであろう二大メーカーの一角をなす会社の品川Sタワーにあるギャラリー(単にキヤノンと書かないところに楽しみがある-笑-)。②つぎに双璧をなすもう一方のメーカー。同じように評すると黄色と黒のカンパニーカラーで、金色の化粧箱。かつてはやはり俗称「大井町」といわれていたメーカーの新宿のギャラリー(これも同じ理由でニコンとは書かない-笑-)。ちなみにこの両者は銀座にもギャラリーを持っているのだが、今挙げた二カ所がゆったり、ゆっくりと広々としたショールームまで見て回れるところが、この文章で紹介するに値すると考えてのエントリーである(もちろんギャラリー数の多い場所で、交通至便な銀座のショールームもおすすめですよ)。③つぎは青と白のカンパニーカラーのカメラメーカー。もと朝の連続テレビ小説ヒロイン、大河ドラマの主役も務めた女優さんがカタログ表紙をつとめる「ゆるかわ」系の作品づくりに使われることの多いカメラのメーカー。堅牢、無敵の二大メーカーよりすこし柔らかそうなイメージがするカメラ女子と呼ばれる方々に愛されているこのメーカーの神田小川町のギャラリー(2016年四月現在オリンパスギャラリーは新宿駅西口に移転しています。下の追記参照のこと)。そうオリンパスである。併設している珈琲屋さんで、カタログを見ながらお手頃値段で美味しいコーヒーをいただくこともある(この付近、実はリーズナブルな喫茶店が複数店舗存在する)。続く④と⑤はとても近い場所にある。④は新宿の西口、かつての旭光学のブランドを引き継いだリコーと⑤はプリンターの分野で名前を聞くことの多いエプソンのショールームに併設するギャラリーだ。
 この中でも見せ方も含めたギャラリーとしての意気込みを感じるのは①の品川のものと⑤の新宿のものだ。両者ともプリンター機材の販売元という点で一致する。それが活かされているからおすすめの基準に達したか否かはわたしも自分ではわからない。ただ言えることは両者とも作品仕上げのアドバイスまで請け負うことができるという点では、見せるための機能を備えた場所であることは確かだ。つまり「鑑賞」する側の感覚と「展示」する側の感覚の両方が見てとれる場所と言うことである。
 「鑑賞距離」や「直接照明」、「間接照明」、「双斜光のスポット照明」、「縁マット枠の高低差、幅、色による立体感」なども含め、⑤では展示する側の立場での苦労や楽しみを説明板などに併記してくれることもあった。その際にはなるほどと感心したのも事実だ。
 また①のほうは動画作品のモニター映像を写真展の中央部に添えたり、スクリーンに映写するかたちで背景のように壁の映像を動かしながら、スチールの写真作品にマッチさせるなどのコンテンポラリーな「鑑賞」の方法にチャレンジしているものを度々お見かけした。それが結構上手くなじんでいて感動したのを覚えている。もちろん作家さんのアイデアや努力は言うまでも無いのだが、それを実現するだけの空間を提供できる会場としてのアビリティに驚かされた。
 さて、なぜここで五カ所のメーカー系のギャラリーを例にしたかという理由だ。作品を鑑賞したいというこころと機材への探究心というこころを併せ持っている人は、私も含めて結構な数が考えられる。そのニーズに応えられる場所だからだ。もちろん毎回新製品が出る度に購入することは難しい。だが自分にとっては中継ぎとなる後継機種も新機能の知識を入れておかないと、そのまた次の後継機種が登場したときに困る。その時の新機能はワンスキップ後の新製品では通常機能となるためトピックとして扱われないこともある。知識が飛んでしまうこともちらほら。今風にいうと「浦島太郎状態」というそうだ。知識の空白は、購入時の候補機種同士を比べる際の諸元欄(スペック表)からの新機能などの情報収集で見落としに繋がることも考えられる。次の次に出てくる登場機種、購入予定の機種のためにも役立つメーカー系のショールームを横に持つギャラリーは情報源の宝庫でもある。だからおすすめなのである。
 もうひとつは個人的な理由で、情報というブログの役割の上では偏らずに、できる限りではあるが、全てのメーカーさんを紹介したかったのだ。ちなみに新宿にはかつてのアルファーシリーズの発売元であるコニカミノルタのギャラリーもあるので、東口のフルーツ系のスイーツを食べてから足を運んではいかがだろう(このビルに行けば、なぜスイーツかの意味はわかります)。現アルファーシリーズの発売元ソニーも銀座にギャラリーを持っている。私自身がまだお訪ねしたことがないので今回は紹介することができなかったが、機会があれば行ってみたい場所の一つである。
 そして別格として扱っても良いくらいの規模、展示数とギャラリールーム、さらには博物館までも併設しているのが六本木にある富士フイルムスクエアだ。行くだけでそこそこの時間を費やして、満足して帰ってこれそうなスポットだ。足を伸ばせば国立新美術館や六本木ヒルズにも行けそうである。ちなみに格好をつけて英語っぽく発音したいのだが、この会社は富士フイルムと「ィ」ではなく「イ」を使うのが正しいようである。同じくキヤノンも「ャ」ではなく「ヤ」が正しいようである。数年おきにカメラ雑誌などでも小話のネタになっているので、知っている方も多いだろう。
 また経験上、現在活躍している写真作家さんたちのステキな作品との出会いは圧倒的にこれらの会場が多かった。現在活躍中の写真作家さんと私を「鑑賞」という行為でつないでくれる大切な会場ということだ。例えばネーチャー系の渾身とも思える美しい氷筍(ひょうしゅん)の写真、師匠がまだ手をつけていないことを理由に撮影を始めたという小笠原諸島の自然、南国の青い楽園の写真、里山と琵琶湖畔を愛する写真、マジックアワーの創り出す自然の中にあるカラフルな風景作品、しゃぼんだまの七色や透き通った美しい作品、静寂を感じさせる群青色の中に潜む月光浴の作品、世界の街角で猫を追いかけている作品等々である。知っている方はこれらの箇条書き程度の言葉で、どの写真作家の先生の写真展かが一目瞭然と思うのでキーワード程度で失礼したい(もちろんもっといろいろな作品を見て回っています。ほんの一例しかご紹介できず済みません。多くの才能ある先生がたはまだまだいらっしゃいます)。いつもいい感動をいただけるメーカー系ギャラリーのスタッフ、運営側の皆さんと作家先生に本当にお礼言って今回は結びたい。感謝。
 次回は「個展」に注目して主題をたててみたいと思う。このブログ、それほど期待はされていないと思うが、書く気があれば早めにお目にかかれるし、止まったら停滞期なのだなと察知していただけるとありがたい(笑)。ではまた。本年もよろしく。

追記1 2015年1月5日にケンコー・トキナーサービスショップが同社中野社屋内にオープン。お世話になる頻度の高いアクセサリー類や交換レンズ、三脚、また天体関連機器なども展示のようです。重ねてご紹介しておきます。
株式会社ケンコートキナー

追記2 2015年5月にオリンパスのギャラリーは新宿方面に移転が決まったようです。詳細は以下のリンクでどうぞ。
https://fotopus.com/event_campaign/showroomgallery/オリンパスギャラリー


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