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31 写真文化にひたる散歩 [写真]

 ずいぶんと更新が途絶えてしまった。ちゃんと生きている(笑)。暑さもおさまり、過ごしやすい季節となった。最近の余暇活動は写真文化の知的探検(?)をやっていた。例えば、末広町にあるLOMOGRAPHY+をご存じだろうか? もう、トイカメラなどと言えないような、簡易的ながらも本格的なフィルムカメラが並んでいるお店だ。一般的な写真店舗やカメラ屋さんではあまり見かけない商品も多く扱っている。
 なぜわたしがこのお店に興味をもったかといういきさつ。それはワンテンカメラについて調べていたためだ。場所はかつて、タムロンの写真展でご紹介したことのある3331アーツチヨダという、廃校を活用したギャラリーの一室である。
 かつてコダック社を中心に昭和五十年ごろに一世を風靡した「ポケットカメラ」という商品があった。そのカメラに入るフィルムは、パトローネの部分がメガネ型になった形のマガジン式フィルムだった。その規格数値「110」から「ワンテン」と呼ばれていた。子供だった私を含めて、一般の人たちとは異なり、写真店では「ポケットカメラ」というより、ワンテンカメラと表記されることが多かったことを覚えている。当時は35mmよりも装填、装着が簡単なことで普及していた。
 そのフィルムは一度ディスコンになったのだが、規格としては生きているため、どこかでわずかながらニーズが生まれるらしく、細々と復活したという情報を風のうわさで聞いたのが夏前であった。時間ができた最近、そのニュースを確かめるべく、そこに参上したというわけである(長いいきさつと説明に恐縮である)。
 その店にたどり着いて、ホルガやほかのカメラを含め、二眼レフなどのスタイルをしたローライ風のものが私の目をひく。もうすでにワンテンカメラのことなどどこかに飛んでしまっていた。ほかにも、トイカメラなどと呼んでは失礼なものがわんさか飾ってある。決して広いわけではない店内がおもちゃ箱や宝箱に見えるから不思議だ(ただしもうフィルムをやめてしまったので興味だけの散策に終わってしまったが)。興味のある方はぜひ、いちど訪問してはどうだろう。御徒町か末広町が最寄り駅になる。お店の人に許可をいただいたので、店内の写真も一枚、3331アーツチヨダの写真と一緒にアップしておく。
 時を別にして、いつもは旧下丸子のイベントなどに行くことの多い私が、その日は「P」のつくブランドのイベントに初めて(たぶん)参加した。新宿の秋晴れの下で、ゆるくお散歩しながら公園までメーカーの方とだべりながら時間を過ごすという内容だ。結構気に入った(笑)。拘束力もなく、モデルも、動物も、アトラクションも登場しないゆるい散歩。おおいにかのブランドの話で盛り上がった。「お相手をしてくれたメーカーのみなさん、お疲れ様でした。また貴重なお話ありがとうございました。写真ファン、カメラファンには楽しい時間だったと思います」と御礼の言葉を忘れずに加えたい。
 その時の写真と帰りにとった東京タワーの夜景を載せて今回は終わりにしよう。次回はちゃんと横浜のお話に戻るのでよろしく。ただし、いつものごとく、書く意欲があればのお話なのだが(笑)。
 そして一つお知らせである(私事で恐縮なお知らせだ)。先日の写真展の会場のほうから、「春の写真展をやりませんか?」とお誘いを受けたので、前向きに検討している。やる気はある。いやいや、やらせていただけるのであれば、感謝感激である。前回とはうって変わり、今回は真面目なテーマを持たせずに、単に軽く、シンプルに「春」を主題に、来春やらせていただくことにした(あちらのリクエストも考慮の上で写真は選ぼうと思う)。花をメインにしていろいろ検討中である。こちらもカメラメーカーさんのイベントに負けないくらいゆるく写真展を行う予定である(笑)。
 そして、写真展でご署名、記帳していただいた方がたには、この場をお借りして厚く御礼を申し上げたい。愚作、拙作へのお褒めの言葉もったいない限りである。お暑い中のご訪問に感謝。

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25 一般的な機材の話2 回想編 [写真]

 YMOが時代を席巻し、オリビア・N・ジョンやシーナ・イーストンが歌姫となり、ジョンレノンが倒れた80年代はじめ。Walkmanやportasoundなどすべてが持ち運びできる趣味へと変化したころである。このころ『ニュークラウン』の英語の教科書にはビートルズとジュリー・アンドリュースが登場し、画期的と評判になった時代だ。
 旧大井町はF3、旧下丸子はニューF-1を登場させ、ついに一眼レフは二極化の方向へとかじどりを切った。しかし知名度で言ったらやはりX-7である(なぜって? CMのおかげである)。他にもLX OM10など一眼レフの新機種は華々しくデビューを飾る。
 私もtrip35というコンパクトカメラで撮影した経験のあるスーパーカーショーやブルートレインのブームもひと段落。「電子制御」という言葉が時代を彩り、シンセサイザーやカメラのAE化を筆頭に、多くの製品について回った。
 この当時、ズームは回転式と直進式の二通りが発売されていた。今は精密性を考えて、回転式しか存在しないが、当時は直進式のズームのほうが使い勝手が良いということで重宝されて人気があった。
 後の時代に私はほしかったこの時代の機材を調達した。F3である。もうすでにFのシングルナンバーはF5が現行製品だった。驚くことにまだ2000年前後のこのころにもF3は生産されていた(私は中古で入手しました(笑))。
 今回はこのF3を思い出せる範囲で回想する。スポット測光という独特の測光方式のため、使いにくいと評判だったが、私にとってはそれほどではなかった。なぜなら、中央にある測光部分を三地点で測って、その平均を概算して露出をしていたからだ。
 主な使用目的はウエストレベルファインダーによるマクロ撮影。被写体は植物だ。撮影時に、マクロスライダーに載せて、マイクロスプリットのフォーカシングスクリーンでずれを合わせる方法なのでピントを合わせやすかった(像が左右反転することと光が少ないと片側だけ黒くなってヤマカンになったことを除けばの話だ)。合焦サインを出してくれるAF機のない時代やシビアな撮影にはこの当時は重宝したファインダーだったのだろう。
 一方、アイレベルファインダーでの風景の場合、経験された方はお分かりかもしれないが、フィルム時代というのは背景の青空の青をより美しくしたいと思うと、被写体がアンダーになる。絞りを閉じるからだ。発色のよいベルビアやアスティアなどではf8でも青は美しく出たが、センシアという癖のないポジフィルムを使うことが多かった私はf16以上に絞りをもっていかないと青がきれいに出ないことが多かった(…と覚えている。あるいは私が下手だったのかもしれない?)ただf16以上では、順光なうえに「ど」がつくほどの夏のピーカンでないと被写体はアンダーになる。そのすれすれを楽しみながら写していた(かわったひと?)。
 それに比べてデジタルの時代になってありがたいこと。出てくる画はおおよそ、どのメーカーさんも発色のよいポジフィルムよりさらに発色良い(まるで当時大好きだったダイナハイカラーというポジフィルムの高発色、それよりもさらに色合いのいい状態である。あまりの発色良さに写真がうまくなったと少し勘違いしたくらいである(笑))。かつての私の悩みは雲の彼方へと飛び去った(笑)。しかもISO感度の粒状性が少ないことに驚きだ。ISO800のフィルムはきつかった。ところがデジタルのISO800は常用可能である。科学の進歩を感じた瞬間であった。今所有の機材はどれも各社現行製品ではない。しかも旗艦機でもない。でも十分の常用感度である。カメラメーカー、フィルムメーカーって本当にすごいなと感心させられる部分である(まあ、十五年も前との比較なら当たり前だといわれそうだが…)。
 ちなみにこのF3、私にとって、ひとつだけ難点があった。普通のホットシューがない。これ専用の接点で装着するスピードライトが必要だった。変換プラグもあったがそれでは意味がない。頑張って買い足した記憶がある。それも今は昔で、このカメラ、私の手元を通り抜けていった。でもいいカメラだったと回想している。
 それほど機材に詳しくないわたしだが、F3は唯一使用経験のある旗艦機の機材だったのでよほどうれしかったのかもしれない。それ以後旗艦機を入手してはいない(特に必要としていないということもある)。唯一の旗艦機にして、最後に購入したフィルムカメラだった(……と思う。すでにF100やデジタルのEOSの使用頻度が上がっていた気がするから)。今回は見せかけにせよ、ちょっとカメラファンっぽいことを書けたかなと思っている。賢人な読者諸君、この痴れ者をそう思わせておいてほしい(笑)。



たまたま偶然機会あって撮った最近のブルートレイン(門外漢である)と日本のスーパーカー

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24 帰ってきた写真ギャラリーめぐり-たのしくなる写真展 [写真]

 何度か例に挙げてきたが、見ていて楽しくなる写真というのがある。その代表となるのが私の場合は植田正治だ。例えば『ジャンプするボク』や『ボクのわたしのお母さん』である。数年前東京駅のステーションギャラリーでやった植田の写真展では間近でお目にかかれた。それより少し前の埼玉の県立美術館でやったときもやはり展示された。シリーズ『パパとママとコドモたち』の数々の作品も同じ雰囲気だ。
 こういった作品と対峙していると思わず頬が緩む。どうしてこんな優しくユーモラスな作品を作り上げることが出来るのだろう。露出とピント、シャッター速度では作れない、なにか向こう側にある世界観なのだろうなと日々思う。マネをしたくても出来ない代物だ(それ以前に、人物の演出やポートレートなどをあまりやらないけど…)。
 先日、製品のことで新宿にあるリコーのショールームにお邪魔した。併設するギャラリーとは別の用事だった。格好良い展示機材を眺めながら、用件を済ませるとショールームを背にして駅に向かう。その一瞬、出口のところでわたしの横に展示してあった大きなカラー作品が目に入った。奥まった先のギャラリーに展示してあった作品だ。
 外に出て、二階廊下から下りエスカレーターに乗る直前、「ん」と思いがよぎり、『見て帰ろう』と心が身体を反転させた。引き返して、ギャラリーへと入ったわけである。
『ニッポンのはたらく人たち』と題した写真展がそれである。うっそうと茂る森の中で時間を止めた各々のポーズが面白い。チェーンソーから飛び散るおがくずもピタリと止まっている。なんともユーモラスな、そして嫌みの無い笑顔がまっすぐに心に飛び込んできた。被写体の人々が生き生きと半ば滑稽にさえ見える陽気さで鑑賞者の笑顔を誘う作品だった。展示された多くの作品のほとんどは、集合写真のようでいながら演技、演出も入っているところがいい。わたしの目には演出写真と言えば植田正治が真っ先に浮かぶのだが、植田のそれとは違うセンス、元気さが前面に出る。先に挙げた植田作品が「ほほえみ」なら、これらの作品は「大笑い」というのが合いそうだ。そこに「働く人」という主題があるからなおさら楽しく見えるのかも知れない。
 わたしが戻った理由。もうひとつは何処か記憶の中にある作品の構図とダブったからだ。それは森の樵夫(しょうふ・「きこり」のこと)を被写体にした古い乾板・湿板のガラス写真時代のもので、『直径三メートルのもみの木・切り込み口作業を終えた樵夫たち』という作品だ。アメリカの写真師ダリウス・キンゼイ(Kinsey 1869ー1945)が1900年頃に撮った作品である。樵夫たちが森を開墾している勇姿を知人に自慢するために、キンゼイに注文して撮らせた作品だ。この作品以外、わたしはこの写真師の作品を知らないし、作品だけでなく素性も知らない。ただインパクトでこの作品の構図が記憶に焼き付いていただけだ。
 ここに掲げられた大型のギャラリー作品が、わたしを惹きつけたのは、おそらく記憶に残ったキンゼイのような森の樵夫の構図と植田のような見ていて楽しくなる表現が重なったためである。
 さらに良いと感じたのは「合成なし」という言葉と、かりっとした画像に仕上がっているクオリティの高さである。久々のお気に入りの一枚に出会えたように思った瞬間であった。本当はもう少し時間が経ってからアップしようと思っていたのだが、折角紹介するので、会期中にアップすることにした。大急ぎとなった。
 もしこの作品をご覧になることがあれば、あなたの心を楽しくする何かに出会えるのではないだろうか。コメディの映画や演劇を見た後のような、楽しい気持ちで会場を後にすることが出来る一品であった。会場の写真撮影はOKという太っ腹なところも、作者、ギャラリー側の両者に感謝である。

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リコーイメージングスクエアー新宿
http://www.ricoh-imaging.co.jp/japan/community/squareshinjuku
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22 帰ってきた写真ギャラリーめぐり-鑑賞と有名作品 [写真]

 作品から写真家の世界観を考えるとき、概念なのか感性なのかという境目があると私は考えている。これは以前のシリーズ、第四回「個展」で掲げた主題に通ずるもの、そこで扱いきれなかった続きとも言えるものである。それを鑑賞者の立場から少し考えてみたい。
 創作作品には独自の世界観を開花させたときに、その人の作品の独創性が出てくるというセオリーがある。これは鶏と玉子のような問題で、売れたから独創性なのか、はたまた逆なのかというと問題だ。それを結論づける能力を持っていない私には到底述べるだけの力量は無い。ただ漠然とそのセオリーは巷に存在し、今日でも通用する説得力を持っていることは確かである。
 多くの写真展を回ると、例えば、未だに根強いのが社寺教会などを取り入れた風景写真のタイトルに「~巡礼」と付けたり、光の変化や造形をいろとともに写した作品に「~のメルヘン」とつける方々をまれに見る。分かる人には分かると思うが、土門拳や緑川洋一の信奉者、あるいはオマージュだったりするのかなと察している(あるいは別の意味からのアプローチも勿論考えられるが、おおよそはこのパターンが多いと思う)。こういったタイトルに、私は写真愛や作家愛を感じるのだが、一般的な上から目線の評価としては模倣と見なされている風な意見をよく聞く。ただ個人的には、純粋にその写真家が好きなのだろうなと感じて、その気持ちを大切にしていただきたいと思わずにはいられない。そういう人たちが写真産業や写真文化を担っているからだ。ありきたりだの、独創性不足だのと切り捨てるのは簡単だが、こういう方々が消費と意識の両輪で写真文化を支えてくれていると言うことである。ぜひともやわらかい共有性のある心で楽しい趣味を分かち合いたいものである。作品のクオリティにもよるのだろうが、パクリ等と揶揄して、一概に無下に扱ってはならないと私はたまに思うときがある(もちろん職業として写真家を目指しているのなら、また話は別なのだろうが……)。まあ、愛こそは全てといったところであろうか? 皆が仲良くできる環境が好きな筆者である(笑)。
 そんなオマージュを知るために写真家の世界観を知るために、自分の中の「審美性」を高める手助けをしてくれるものは何かと考えてみた(私ごときが審美性と言うのは気がひけるのだが、他に良い言葉が出てこなかった。分限は心得ているのでお許しを)。出てきた答えは、個展と作品集である。ただいきなりの個展ではその写真家の今を知ることは出来るのだが、全体を俯瞰するには至らない。写真集も同様の意見である。どちらも図書の分野で言う一次資料の類となるため、基礎知識をすっ飛ばした情報ということになる。やはり先に読むべきは、二次資料的な評論や紹介などの書物かなというのが答えだった。つまりは指南本とか入門書の類である。
 私が直接目にしたその類の本は二種類ある。叢書の類としてご案内すると、時代順に『昭和写真・全仕事シリーズ』(朝日新聞社)と『名作写真館』(小学館)である。どちらも写真家ごとにそれぞれ一巻になっている(複数人数で一巻のものも少しある)。もちろん私が目を通していない同様の他のシリーズものがとても沢山あるので、そちらが気になる方はそちらを当たられる方が良いだろう。自分が読み易いものが一番である。ここでこれらを挙げたのは、私が説明を述べやすいためという理由からだけである。そして叢書の内容、シリーズ構成などについてはネットの時代なので、賢者たる皆さんご自身でお調べいただいた方がよろしいと思う。
 全体的には、前者は写真家本人の意見も含め、かなりのボリュームになる。また細かな点まで網羅されている。発行が1980年代なのでいささか古い。後者は近年の発行ということもあり、最近の写真家までが網羅されている点が強みだ。こちらは分冊百科の形態での発行のため値段も手頃であり、薄くて読みやすい。まだ新しいものが入手可能かもしれない。入門には持ってこいのシリーズというわけだ。ただ利点は弱点でもあり、薄いがゆえ掲載されている作品数は少ない。結果的には、読み終えたらもう一冊ぐらいは必要になりそうだ。
 こういった類の書を読みこなしてから、写真家の個展や写真集の扉を叩いてはいかがだろう。私はこの手法をするようになってから、写真家の先生方の作品をギャラリーなどで見せていただくのが楽しくなった。そして自然に人に説明してあげるのが以前より上手くなったと感じている(感じているだけだ。上手いわけではない)。これが写真家の世界観や独創性を理解する一歩になると自負している。むろん私個人の考えである。
 もしこんな方法で賢者たる読者諸君の趣味や学習の守備範囲が広がったのなら、私にとっても嬉しいことである。これから暑くなる季節、美術館やギャラリーは涼んで楽しく知識を得られる場所になる。楽しみである。また多くの写真作品と出会える喜びを味わいたいものだ。そしてごくたまに『帰ってきた写真ギャラリーめぐり』もネタが見つかったらお目にかかれると思っていただきたい。またしばらくは、花便りでの更新が続くと思う。もちろん書く気力が続いていればの話なのだが(笑)。
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タグ:写真
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15 写真ギャラリーめぐり-まとめにかえて [写真]

 約一年にわたって続けてきた私の趣味であり、実益(?)を兼ねた楽しみである写真鑑賞と公共学習施設や展示会場のお話も、今回で一区切りである。一年で十五回ということは、平均すればひと月に一回以上ということになるので、私からしてみれば驚くべき快挙である。何をするのものろまだし、諦め屋、煮え切らない、おまけにさえない性格の私。…にしてみれば、ご褒美をあげたいくらいめでたいお話である。自画自賛にはなるが、それくらいすごいことと自負している。
 振り返ってみれば、写真展の鑑賞の方法や開催している展覧会の探し方などを、自分なりの経験をカテゴリー毎に解説をつけて発信していただけのことである。しごく単純なアナクロ形式の情報ツールということになる。
 だがただ一人で勝手に書いてアップするだけでは到底ここまで続かなかった。これもひとえに御贔屓にして下さった読者の方々のおかげと感じている。それくらい粘り弱い(こんな言葉あるのだろうか?)のだ。くじけることなら誰にも負けない(笑)。
 ゆるい前置きはこれくらいで、包括としての所見を述べていく。まずは写真家の個展である写真展、作品集などについてだ。お金を払って鑑賞する写真展の開催主や写真集の作者、媒体主というのは、営利目的・アーティストの感性・プロ意識の備わった面々である。私のような自己満足とは違い、待つ人のいる仕事というフィールドの中で一生懸命だ。そしてそんな仕事を複数の掛け持ちをしながら仕事をしている。それにも関わらずクオリティーの高い上質な作品を大量生産しているところに敬意を表するほかない。
 次にギャラリーや写真美術館、記念館などのスタッフの方々の尽力である。順に言うと、私個人が自分の作品展で(生意気にたまに写真展をやることもありますので、レベルの低い写真展でも良いという方はぜひ拙作展に足を運んでいただけると嬉しいです)、お世話になった石川町の駅近くの親切なギャラリーや三鷹駅近隣のギャラリーは写真専門というわけでもないのに、とても丁寧で親切にしていただいた。遅ればせながら、この場をお借りして謝意を表したい。
 こういった場所は、運が良ければ、気軽、気さくに同志を持った人と出会える場所でもある。私は引っ込み思案なのであまりそういうことは無いが、気さくな人同士なら、意気投合することもあるかもしれない。そして、そんな場所の出会いが多いと、やはり相乗効果で写真展をやりたいという人が繋がって、増えていくんだろうとギャラリー運営においては門外漢でありながらも感じている。上質な写真展が増えれば、当然ながら私の散歩の訪問先も増えて、私は写真展をめぐる心地よい散歩に出るのである。
 また見せることの一級のプロである写真美術館や記念館の類のスタッフさんの意向では、たまにフィルム時代のネガやべた焼きなども展示してくれることもある。「贔屓の写真家のファンにはたまらないのだろうな」などと考えながら拝見することもあった。
 そして公共学習施設や自治体の文化会館などの施設も使い勝手の良い場所である。もちろん公の施設ゆえ物品販売などは出来ないので、こちらが訪問する立場の時は気楽に足を踏み入れることが出来る。
 ちなみにこれから初めて写真展を開かれるアマチュアの方に、僭越ながら参考になる図書を紹介しておくので、興味ある方はどうぞ当たってみて欲しい。もしかしたらお役にたつかも知れない(たたなかったらご愛嬌でお許しを・笑)。前回の『写真を愉しむ』と合わせてお読みになると良いかもしれない。『ファット・フォト(PHAT・PHOT)』2008年五月号増刊号でサブタイトルは「うまくいく写真展のヒント」である(タイトル通り、そのままです)。バックナンバーや古書店などで見つけたら「買い」である。あとは古くて絶版と思うのだが、入手可能の調査はご自身でお願いしたい本がある。『カメラ完全攻略Q&AⅡ』という『CAPA』の別冊ムックがある。展示するための写真プリント注文方法なども載っているので、部分的には役に立つ(ただしフィルム時代の本です。たぶんデジクリなどには対応してません。奥付1997年です)。また雑誌では『美術手帳(BT)』の2007年7月号「写真家になる基礎知識」も別に写真家にならなくてもいい人にも、一部記事が役立ちます(ちなみに総収入の半分以上を写真で稼がないとプロフェッショナルではないと聞いたことがあります。真偽はいかに?)。
 イベント関連で進めるなら、やはりシーピープラスや東京写真月間といった巨大イベントに参加して、メーカーさんや写真関連産業の企業の皆さんの努力や親切を感じてみたい。そしてテンポラリーギャラリーだけで無く、メーカーや小売店の常設のショールームや店舗併設ギャラリーなどに立ち寄ってクオリティーの高い写真展に酔いしれるというのも楽しみだ。以前も紹介しているが、特に旧「下丸子」、時計メーカーのグループ会社さん、あと加えて、まだ私自身は行ったことがないが、何かと多くのイベント記事に出ているので、トリニトロンで有名な映像メーカーのギャラリーはお薦めだ。
 最終回なので、もうひとつ本文には紹介しなかったもの。都内で銀座や新宿には一杯やりながら写真談義を出来る飲食店なども存在する(そんなことはどの店も看板には謳わないので自分で地道に探して下さい)。もちろん私は量も飲まないし、外でもあまり飲まない。短時間・短距離で帰宅したい人なため、都内で常連になることはあまりない(家での一人飲みや常連になるのは出やすい横浜や神奈川方面にあるフランクな近隣の店で十分なのです)。なので、かつて覗いたことがある程度だが、質の高いフォトギャラリーを兼ねたアマチュア写真家のサロンとなっているお店はちょっと異空間的で楽しいものだ。あれもギャラリーなんだろうなと思い返してみた。そんな写真談義の仲間が欲しいと思う方はその類のお店の扉を叩くのもありだろう。
 さて序で述べたように、「鑑賞するための案内を中心としたブログで、人様のお役にたちたい」という当初の目的は達成できたのかは、私は自分では分からない。しかし、そこそこの方がこのブログにお寄りいただいているようなので、少数派ながらお役にたったと見るのが結論ではないかと考えている。もともとが無限に広がるネットの隅っこで、草の根のように、目立つことなく、細々と自己満足とあわよく行けば「役に立ちたい」からスタートしたものだった。したがっておおよそ目的は達成できたと自己完結したいと思う(笑)。そもそも在野者のブログで、ここまでギャラリーや美術館について述べることができたのもありがたいことである。これからも怠ることなく、楽しく飽きない程度にがんばって在野なりのギャラリーをめぐり、写真家の先生方の表現する良い作品との出会いを大切にしていきたいと思う。一期一会の作品展を大切に、皆様とはまた近いうちにこのページでお会いすることが出来るといいなと思う私である(ほんのすぐ、来月にもう更新されていたら大笑いである)。長期にわたりお読みいただいた読者の方々には厚く御礼申し上げたい。近いうち、このブログサイトにてまたお目にかかりたい。横浜の町もそろそろクリスマス・イルミネーションが多くなり、ぶらぶらに適した季節になってきたようだ。 
Coming soon...(笑)。


  Thanks. 米斗太陽/MasamiNARUSE

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14 写真ギャラリーめぐり-愉しみ(撮影・機材・ギャラリーの三要素) [写真]

 写真を愉しむ方法のなかには副題に示したように、撮影、すなわち「写したい人」、機材、すなわち「手にしたい人」、作品、すなわち「鑑賞したい人」のように、三位一体となった楽しみ方があると思う。もちろん写真好きならその全てが対象であるが、なにに重きがあるかという話だ。私はここで、そのなかでも一番ネタの少ないといわれているテーマ、鑑賞についてをブログにしてお話ししてきた。
 世の中にはサブカテと呼ばれる検索の対象をしぼるために加えるジャンルがあるが、そのサブカテ風に言うなら、「写したい人」と繋がるのは被写体を求めた移動や旅行である。ここは旅好きや被写体を求めるさすらい旅情と重なるのだ。次に「手にしたい人」は、よそさまのbotなどでよくみかける愛されながら茶化される趣味、収集である。これは販売店やメーカーカタログ、ショールームなどにも繋がる。そしてコレクターやメカ好きとも繋がる。最後の「鑑賞したい人」は、これまで本稿が追いかけてきたギャラリーや美術館、図録、写真集などの類に繋がっていく。一種の美術ファン、芸術ファン、本好きと同じ分野に属しているといえる。つまりカメラや写真を中心とした趣味の裾野には、それぞれの重きに対して、それぞれの方向を向いたそんなサブカテが存在しているということになる。
 どんな趣味でもそうだが、中心となる分野を軸としていろいろな事象があって、それが複数のジャンルにまたがっているというのが本当のところだ。だから「今日は写すことやレタッチ、明日はカタログを見ながらこのつぎのお小遣いで買えそうな機材候補を見つける」といった楽しみは尽きない。そんな中で鑑賞ファンにとって必要な基本知識は、写真家、写真作家の作品のテイストや思想観といった個性やオリジナリティなどに通じる作品の見分け方や鑑賞方法のような下地である(もちろん無くてもいっこうに構わない。みるだけでも結構愉しい)。このブログで何度も申し上げてきた作家本人のトーク参加や本を読むことへの誘いで得ることが出来るのが、作家さんそれぞれの個性の習得である。勿論中には、そんなものは鑑賞者ひとりひとりが各々で感じれば良いとお任せの写真家の方もいれば、一方で乱暴に扱われるのを嫌い、主題を丁寧に解説し大事に温めている写真家もいるのだ。そういった作家の思惑を汲んだ上で鑑賞と読解作業に我々は入ることを留意してみるのがいいのだろう。
 例えば土門拳が温めた『古寺巡礼』、表紙の帯には作家川端康成の推薦文が載せられていることは有名だ。後世に伝えたい歴史文化という思いが両者を結びつけたというひとも多い。入江泰吉は、やはり随筆作家で文化人の白洲正子の意見に合う作品を数多く生み出している。逆に言えば、白州の好みが入江作品だったともいえるだろう。そうかと思えば先日『あの人に会いたい』という番組(だったと思うが)でアーカイブフィルムの再放送があり、緑川洋一がインタビューに答えている映像を思いがけず見ることが出来た。いくつものフィルターと日没時の決まった場所からの太陽光線が一致した海岸と水面の反射であの傑作は生まれたという趣旨の話を聞くことが出来た。もちろん『海のメルヘン』の話である。またブレッソンの有名な水たまりの上を飛んでいる人の写った作品、『サン・ラザール駅裏』なども「決定的瞬間」という流行り言葉になる様な作家の作品個性とテイストなのである。
 作家には作家の個性や味がある。それを愉しむのが「鑑賞」という作業のように思う。この趣味は仮にカメラの操作をできなくても、雰囲気と感性で愉しめる趣味である。美術館やギャラリーといった雰囲気の良い場所で知的好奇心やアート気分に浸って優雅さとくつろぎの時間を持つことの出来るこころの休憩室なのである。またカメラを操作できる人にとっては、新しい発見やヒントを与えてくれる知の宝庫でもある。展示作品から新しい発想や着想を得ることもあるだろうし、お誂え向きにアートに関する書籍が閲覧できる場所を備えているところも多いので、そこからということもある。決して気取っての訪問でなく、普段着のままでくつろぎながら出逢う知の空間というのが鑑賞の世界と考えている。私個人で言えば、幸せな顔が見られる場所とひたむきな顔が見られる場所、そんな場所がお気に入りのことが多い。美術館もギャラリーもそんな人たちの顔を見られる場所のひとつである。幸う時間と真面目な時間、人間にとって一番必要な時間である。そんな時間を過ごすことが出来る場所のひとつが美術館であり、ギャラリーである。チャンスがあるなら、あなたの大切な人と今度の休日にはぜひ足を運んでいただきたい。そこには知識、幸福、やすらぎなどがあなたを待っているはずである。
 カメラをぶら下げた人、メーカーのカタログ・パンフレットを小脇に抱えた人、図録と照らし合わせて作品と真剣に向き合う人。そんな三者三様の愉しみに加えて、そんな人たち以外にも寄り添う恋人たち、子どもに説明をする父母、散歩がてらに立ち寄った老夫婦など、そんな人たちが作品の前で愉しんでいる姿を想像しただけで、ギャラリー訪問が楽しくなるかも知れない。少なくとも私はそんな光景が大好きである。撮影や機材と重ねてもうひとつ、鑑賞という作業を推進するおせっかいな文化活動に、人知れず少しでもお役に立てたらいいなあと考えている在野の一人である(つまりは素人ということです。はい)。
 今回のおまけ写真はちょっとだけ話題に出したので、かつて竹橋の近くの美術館で行われたブレッソンの催しが貼られた掲示板とその周辺の景色を載せておく。いい作品展だった。そして良い雰囲気の美術館でもあった。帰りには竹橋周辺をぶらぶらしていった記憶もある。
 次回は一旦最終回と言うことになるので、総集編として要約した文章をお出ししようと考えている。勿論気まぐれな私のことであるから、ネタが溜まれば平気な顔をして『パート2』とか『続編』とか『番外編』とかやるであろう。それが拙者たる小生の謙譲して言うところの「厚顔無恥」の性質である(笑)。ではまた。ごきげんよう。
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13 写真ギャラリーめぐり-それぞれのための鑑賞ルート [写真]

 以前にも少しだけ触れたが、都内のギャラリーをめぐる際の道順を自宅からの出やすい順に並べて、鑑賞のハシゴを行う散歩コースのことを今回は触れてみたい。まだ私が写真ギャラリーめぐりを始める前は、歴史や文学、西洋絵画好きだったので美術館や博物館のハシゴをして、最後に銀座や新橋、新宿などのカメラ店を回るのがお決まりだった頃がある。「♪安さ爆発~」の店や中古を扱うチェーン店がたくさんあった頃の話だ。もううん十年も昔の学生時代だ。だからもともとは写真ギャラリーに特化したギャラリーめぐりではなかった。いわば美術館・博物館めぐりの派生からのスタートだったというわけである。しかも特別展ではなく、当時は学生ゆえ安く入れる常設展が多かった。
 九十年代の後半に入るとそういったカメラ店は減少してしまい、少しでも写真やカメラに繋がっていたいと思った頃、そして大人の趣味としての写真にスタイルを変えたいと感じた折、ギャラリー見学もたしなもうと散歩をかねて回るようになった。世の中ではデジタルカメラの普及が市場でもそろそろ決まりかけていた頃だ。この頃には画素数はともかくとして、コンパクトカメラでのシェアはかなりデジタルへと移行が進みつつあったように覚えている。
 おっと、失礼、前置きが長すぎである。カメラそのものの魅力もさることながら、写真家の作品に触れる、考えかたを理解する努力をしてみたいと思うようになった。そう読書家が作家の個性や人物像に惹かれるように、あるいは歴史好きが歴史現象の起きたことを拾い集めて解明したくなるような衝動に近かったかもしれない(まあ私の場合はそこまで高尚なものかは不明だが)。ただ所詮、私のような児戯に等しい知識と手法しかない拙い者に全てを理解することは無理である。
 だからただ分かった気分になればいいと軽い気分で始めたのが私のギャラリーめぐりのスタートだった。重荷になってやめてしまっては本末転倒である。先に結果を言っておくと、アマチュア写真家とは違う商業写真家や写真作家の方々のコンセプトやコンテンツはさすがに職業にしているだけあって、知れば知るほど技術も手法も飛び抜けていた。テーマやモチーフの個人的な好みの違いは、たまにあるのだが、それは彼らの仕事として見ているので関係ないし抵抗感もない。いい仕事をしている作品は、私の好みでなくても何かが違っていた。そんな感動を求めてふらふらと都内のギャラリーを散歩するのである。
 ちなみにそんな鑑賞作業、散歩のことを飯沢耕太郎さんは自書の中で「けものみち」と呼んでいらっしゃる。また人のかずだけそのルートがあるともお書き添えだ。絵画や造形を見て回るのなら上野や青山なのだが、その「けものみち」たる写真の道はやはり銀座、新宿、原宿などだろう。特にメーカー系のギャラリーが集まっていることもあるため銀座と新宿は外せない。新鋭の人たちが目指す原宿、表参道、渋谷なども写真ギャラリー鑑賞族の拠点だ。以前私は自由切符の類で回るというその散歩手法を述べたことがあるが、それがこの離れた三カ所をつないでくれる魔法の切符だからである(笑)。
 ただこれよりも深いルートの仕訳や考察をこのブログではしなかった事には簡単なわけがある。それは拙い私がここで述べても仕方の無い内容だからである。もっと言ってしまえば、先に述べた飯沢耕太郎さんの本がその内容までも網羅しており、今更後発のゆるいブログがその内容を述べる必要が無かったためである。機会があったら是非参考にして欲しい本であることは確かだ。
 そういえば、飯沢さんのスピーチを先日拝聴してきたがお変わりなく、穏やかな性格が出ているお話のしかただった(もちろん面識はありません。ただのファンです)。嬉しかった。かなり前の吉祥寺以来だ。今回は写真家の田沼武能さん、映画監督篠田正浩さんとの鼎談(といっても司会進行役に近かった)で「旧下丸子」のメーカーさん(あいかわらずキヤノンと書くよりカメラファンっぽいと思っているのは私だけか?)のイベントで拝聴させていただけた。茶目っ気たっぷりの田沼先生、真面目な篠田先生もステキだった。
 botでは飯沢さんの写真史の専門書をご紹介しているが、ここでギャラリー鑑賞者のためになる書をご紹介したい。内容はご自身でお読みになることをお薦めするが、写真史的な要素から鑑賞、写真展の開催方法までを平たくカバーしてくれているもの。それが『写真を愉しむ』という飯沢さんの著書である。写真を趣味にして真面目にかつ本気で愉しもうという人にはうってつけの本である。とりわけ鑑賞に重点を置く内容のものはなかなか見つけるのが難しい。貴重な一冊と言える。
 そして最後になるが、今回も触れた新宿のルートに新しく現れたギャラリー、そうオリンパスギャラリーについて少し触れたい。ようやくオリンパスの新しいショールームとギャラリーを訪問することが出来た。スタッフの方に訊いたら「写真も自由に載せていいですよ」と快いお返事をもらったので、今回は移転した綺麗なオリンパスの新ショールームの画像三枚をお付けしてお別れしたいと思う。ではまた。(予定なので変更もありかも知れないが、今のところ「写真ギャラリーめぐり」の主題は第十五回をもって一旦終了と考えています)

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12 写真ギャラリーめぐり-「ギャラリーめぐりアイテムとしての雑誌」 [写真]

 今回はギャラリーをめぐるときの下調べに必要となるアイテムを考えてみよう。ウェブのギャラリー案内は以前にリンクをはってお伝えしているので、今回は昔ながらの定番である雑誌の情報を取り上げてみたい。
 かつてはどの写真雑誌にも事細かに当月開催予定の写真展の詳細が掲載されていた。だが近年はネットの普及とともにその情報量は大幅に削減されている。それでもギャラリーめぐりに役立つ情報を扱っている雑誌自体は皆無に至っておらず、まだ幾つかは健在である。詳細を掲載してくれている数少なくなった雑誌の中で、私がわりと参考することが多いのは『キャパ』、『アサヒカメラ』、『日本カメラ』の三誌だ(正直、他の月刊雑誌はほとんどが詳細の掲載をやめているのが現状。時代ゆえ仕方ないこと。ただし他の各誌、一押しの写真展の紹介と掲載、カメラなどに関する誌面内容や企画など、全ての雑誌で、楽しいものばかり集めているので見逃せないのも確かです)。
 この三誌は現在でも情報量をそこそこ維持してくれている。換言すれば、ギャラリー情報の面で、紙媒体として、なんとか広報活動堅持を続けている。『キャパ』はそのまま「キャパ」と呼ばれているが、『アサヒカメラ』は「アサカメ」、『日本カメラ』は「ポンカメ」等のニックネームを持っている。この三誌に共通するのは、ほぼ全国の大きな会場の写真展イベント情報を数ページにわたって掲載してくれているので、ギャラリー鑑賞族にはありがたい存在なのだ(私にはOKなのだが、すこし残念なのは近年は東京中心になりがち。地方の人は別の地域催事情報も併読する必要がありそう。これも時代ゆえなのでしかたない)。
 各誌写真展情報ページを例にとると『キャパ』は「Photo Exhibition Infomation」、『アサヒカメラ』は「写真展情報」などのページで、カラーページの多い写真雑誌の中のモノクロページのコーナーなので、割と見つけやすいはずだ。ちょっと逸れるが、モノクロページの中では『キャパ』なら、ぞなもしさんやとほにゃんさんの人気コーナー、「アサカメ」なら「ニューフェース診断室」なんていうのが往年の読者さんたちには馴染みだし、楽しみにしている人も多いと思うが、そんな白黒ページの片隅にまだまだ現役で、ギャラリーの情報を載せてくれているのが嬉しい。ほかにも月刊誌ではないが『PHaT PHOTO』などもたまに、鑑賞者の視点で特集記事を組んでくれたり、ギャラリーと写真展の開催方法など、独特の視点で写真鑑賞を応援してくれているので見逃せない。
 そこで繋がるのが、なぜ今更雑誌のギャラリー記事と思うことだろう。このコーナーの重要性を今回あえて取り上げたのかという理由は、しごく単純。要は主宰者でなく、媒体主のコメントが第三者の感覚で紹介されている部分、つまり客観性に近い評価評論の部分が存在すること。スケジュールと同時に紹介記事も併記されており、ギャラリーめぐりのお伴に持って歩くのに適しているからである。
 何のことはない情報量でいったらスマホや携帯で調べ歩いた方が便利に決まっている。しかし一覧になっているギャラリー情報を紹介案内文と一緒に持って歩くことで、雑誌を開きながら次はどこに行ってみようかとぶらぶらしながらギャラリーをめぐる楽しみもある。かつては『ぴあ』も含めて、この雑誌片手にという方法しか選択肢がなかった。最近はネットで調べることも多くなったので、たまに初心に戻って雑誌と一緒にぶらぶらするのも楽しいもの。問い合わせの電話番号、開場日時、休館日なども併記されているのであらためて見直してみると意外に便利である。興味のある方はお試しあれ。
 ここで追加事項を二つ。いつもTwitterのbotを使ってタイムラインなどでつぶやいている江戸から明治の写真家ベアトの作品が常設として、いくつかパネルサイズで見ることが出来る場所が横浜にある。もと英国総領事館の建物(実際には展示場所は新館の方だけど)、横浜開港資料館である。ほぼペリー上陸の場所に位置し、海岸教会のお隣にある。もし興味ある方はどうぞ。
 そしてもうひとつはタイムリーなご案内である。先日散歩がてらお邪魔してきたのだが、品川のキヤノンギャラリーはショールームの奥、吹き抜け横の渡り廊下部分を利用した展示コーナーをリニューアルして「キヤノンオープンギャラリー1・2」とした。以前より落ち着いた雰囲気のギャラリーとなり、作品の魅力をひきだすことのできる場になった。完成記念として巨匠である林忠彦の作品展が八月下旬まで行われている。文士シリーズでおなじみの写真家だが、それ以外の知られざる世界、アメリカなどのスナップも多く展示されている。おすすめである。お暑い季節、十分なお体のご自愛と、写真と一緒に「メイク・イット・パッシブル」して乗り切っていただきたい。では今回はこの辺で。

横浜開港資料館(旧英国領事館の保存館建物・資料館は別棟にある)
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リンク
http://www.kaikou.city.yokohama.jp/index.htm横浜開港資料館のURL
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11 写真ギャラリーめぐり-「社会教育施設のギャラリー」 [写真]

 今回の主題はちょっと堅い。興味の無いかたはスキップしていただいても致し方ない(笑)。まず社会教育施設とはなんぞや? というところからいくと、教育には学校教育と社会教育という二つの教育形態があるそうだ。本に書いてあるのだからそうなのだろう。知徳体、すなわち、知育、徳育、体育を統合したものが教育、その教育の中で学校で行わない教育が社会教育だそうだ。これまたもちろん本に書いてある。その社会教育を推奨したり、応援したり、お手伝いをする場所が社会教育施設というわけだ。昨今良く聞く生涯学習なども社会教育に分類されている。
 博物館、美術館、植物園、動物園、水族館、音楽ホール、文学館、公民館、生涯学習センター、スポーツセンターなどなど例を挙げるとたくさんある。要は学校を一歩出た場所で教育や学習をしたり、その成果を発表する公共性の高い場所を社会教育施設と呼ぶのである。またまたこれも本のうけうり。因みにこれらのことはもっとちゃんとした説明で教育関係の本をお読みになると、ほぼどの本にも同様のことが私の文章よりもっと高尚に書かれているのでそちらを参考にしていただきたい。
 それを前提として考えた場合、写真に関する社会教育施設というのは主に三種類存在すると考えてもいい。ただしこの分類はあくまで私が思うだけで、もっとあると言う人はそれで良いし、二つで十分と思う人もそれで良いと思う。便宜上説明しやすいので、私が三つに分けたまでである。
 ひとつは以前にも触れた著名な写真家のゆかりの美術館やギャラリーである。入江泰吉や植田正治、土門拳、前田真三などの美術館は地方にありながらも結構有名である。こちらは写真家の仕事を振り返り、作家としての業績を記録、展示、広報するという役目や価値ある作品そのものの大切な保管を目的としている。いずれにせよファンにはたまらない美術館やギャラリーである。
 次はカメラそのものを対象にした技術史の側面で展示をしている博物館の類。そう半蔵門にあるカメラ博物館や富士フイルムスクエアにある博物館の類である。十九世紀の科学技術の進歩による写真機の発明、発達から始まって、最新型のデジカメまでを工業製品として、あるいは技術的知識として学べるという場所である。こちらはギャラリーとは少し違う気がするが、このブログ、写真に関するよもやま話がタイトルなので恣意的に独断で併記させていただいた。最初にそういうタイトルをつけてしまったのだから仕方ない。
 最後が私たちに一番関係するもの。公共性の高い学習施設で発表会を開催出来る施設と言うことだ。こういった公共施設では写真に特化した展示ホールを備えているところは少ない。大概は絵画、彫刻、書道、造形などなんでもござれというところがほとんどなので、やりやすいように会場を自分でアレンジすれば良いだけだ。私も過去にグループや個人で幾つかの公共ギャラリーで何度かお世話になった経験があるのだが、大概にして親切、丁寧、わかりやすい説明をしていただいたことが多い。
 趣味のサークルや仲間うちの発表会などが主軸を占めるこういった社会教育施設の場合、皆に一律に浸透して理解していただきたいというノウハウをお持ちなのだろう(勝手な想像)。つまり業務であろうと個人であろうと、趣味、仕事の区別無く一律に使用規定に則ってもらうということだ。規定の上では特別扱いをあまりせず、業務使用には業務使用の規定、個人やサークルにはそれ用の規定があり、皆にそれを遵守していただくという具合だ。そのため経験上、こちらも割と指示に従う性格なのもあるが、簡潔な説明を了承した上でまず気持ちよく使用した覚えがある。セールスポイントばかりをアピールするよりも、公共施設ゆえに当たり前のことをちゃんと理解してもらうことに重きを置いているのだろう。
 こういった施設で見学をする場合に私が感心するのはアマチュアにしろ、職業にしろ、写真作家さんが丁寧に説明をしてくれる機会が多くなったことが嬉しい。ざっくばらんに言うと飾りっぱなしではなくなった。先日、都内にあるギャラリーで、鑑賞中、作家さんが折を見て説明についてくれることがあった。お時間に余裕があったのももちろんなのだが、作品の意図やモチーフへの思いなどを簡潔に見ている横でちょくちょく来ては教えてくれたのが嬉しかった。それが一カ所ではないのだ。行く先々のギャラリーや施設で結構多かった。以前ではおおよそ考えられない。最初は邪魔でないかの確認後、こちらがOKの意思表示をするとちゃんと礼儀正しく説明をしてくれた。私のような素人相手(その時期の訪問先は人物スナップの作家さんが多かったのですが、私はその分野にあまり慣れていないのです)にいろいろ教えてくれて、素直にいい人だなと感じた。おっしゃっていることの半分も理解できず心苦しいのだが、でも楽しかった。いつしか大作家先生になられたら嬉しいと思っている。無力ゆえなにも出来ないので、陰ながら応援である(笑)。
 さて以上三種類の社会教育施設、写真とカメラの学習場所として形態や状況、体験談などをおおよそで紹介したが、こういったものの他にもある意味では一部ワークショップと社会教育施設、発表の場を兼ねている場所もあるので覚えておくと便利である。例えるなら「御苗場」や「PHOTO IS」といった手軽に発表をしてみたい人をサポートしてくれるテンポラリー・ギャラリー(期間限定ギャラリー)などである。イベントの類に分類しても良いのだが、ここでのご紹介のほうがちょうど良い機会である。ちなみにこの二者には私は参加したことがないので興味のある方はいつものごとくだがご自分でお調べいただきたい。一応リンクなどのご用意はさせていただいたのであとは自力でどうぞ。
 結局、あまり堅い話にならなかったのがこのブログの良いところ? まあ書き手が書き手なのでこんなところが分相応と感じている。写真、映画、音楽、美術、文学など、どんな分野でも良いのだが、良い作品やお気に入りの一品に出会うというのも会場や媒体あってのこと、これからも社会教育施設で多くの作品や作家さんを応援できると良いと思う今日この頃。
 さて、あじさい、バラ、ラベンダーと被写体に事欠かない今の季節。次はヒマワリの咲く頃に更新したいと思っている。あくまで希望ではあるが…。ではまた。 

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公共施設ギャラリーでの拙作展1
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公共施設ギャラリーでの拙作展2

リンク

http://photo-is.jpPHOTO ISのURL
http://www.onaeba.com/index.html御苗場のURL
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10 写真ギャラリーめぐり-「イベント会場(メーカーの展示・催事)」 [写真]

 このブログもいつの間にやら十回目、読んでくれている方にはなみなみならぬ感謝を申し上げたい。では今回のテーマはメーカーのイベントになる。二つの例で見ていきたい。
 まずは一般的なメーカーのイベントと言われると、どうしても新製品発表展示会を想像する方が大多数のはずである。ご多分に漏れず、最初はその類のお話から行きたい。
 しかしこれはイベントではあるが、厳密な意味ではギャラリーではない。だが趣向を凝らした会場内の一角で、作品を鑑賞できるのでここではあえて同じグループにカテゴライズしておく。
 重ねての話になるが、このようなイベントは会場も一般的なギャラリーで行われることはとても少ない。ほとんどがイベントホールなどだ。大枠でとらえた場合、作品の展示コーナーなどを設けているので、そのスポット部分のみがギャラリーといえる。参加されたことがある人なら通じるお話である。
 参加の経験が無い方のために一応軽く触れると、各メーカーが新製品(特にカメラ本体の中級機から高級機種)を発表するときに大都市を中心にお披露目会を行うことが多い。それがこの会場でのお話と言うことだ。旧「大井町」のメーカーさんだと「デジタルライブ」と冠することが多い。旧「下丸子」のメーカーさんだと「ジャパンプレミア」なんてつけている場合が多かったと記憶している。イベント名に関してはあまり明確な記憶ではないので違っていたらご愛敬でお許しを…。とりわけ各社が力を入れるイベントの場合は東京、大阪、名古屋、福岡、札幌といった大都市を日程をずらして開催している。更にターゲット層の多い商品の場合は仙台や広島なども加わる。もちろん私は東京と横浜以外のものには参加した経験はない。
 その会場においては小さなシーピープラス会場と考えてもらえるのが分かり易いかもしれない。とはいっても即売会や飲食ブースはない(ただ意味は違うが品川Sタワーが会場の場合、ラウンジが開店しているときに限ってはそこでコーヒー等飲めます-笑顔-)。基本構成は相談ブース、実写体験ブース、写真作家の講演ステージ、過去の交換レンズなどの展示見本というおおよその会場の間取りになる。そしてそこにプリンタの出力コーナーやギャラリーコーナーも加わると言うわけだ。
 ギャラリーコーナーでは、写真作家の講演ステージに連動することが多く、話題の新商品を使った(一般に発売前なので、作家先生は試作品とかベータ版とか言われる商品になる直前のものを使用しているみたいです)実際の出力作品を見せてくれる。特に興味深いのは、普段カタログなどではページ数やスペースなどの関係で知ることが出来ないたくさんのレンズを使って、大きな作品を展示してくれているところに魅力がある。解像度にちょっとうるさい方やボケ味に厳しい方の商品選びの良き指標になると言うことだ。
 よく耳にするのは広角端のシャープさやポートレートのボケ味のお話だ。後者はマクロレンズの時には考えるのだが、ポートレートをあまりとらない私の場合は、先達の方々がお話になっている内容にあまりついていけず残念という心情であった(笑)。これらを全紙サイズで出力していたり、トリミングを見せてもらえたりするので勉強という意味では大きなチャンスになるのは間違いない。
 展示作品は比較的光沢プリントで木枠の全面パネルの場合が多いが、時にマットやエンボスなど洒落た用紙に額装という場合もあるので、展示方法に興味のある人も楽しめる。特に「下丸子」のメーカーさんの場合はプリンタとの連動で、この作品はこれで出力しましたというサンプルがしるされていたのを覚えている。今後製品スペックだけに留まらず、こういった展示作業にどのようなおもしろさが加わっていくのかも、類似イベントで実践されていくだろうから鑑賞する側にも、させる側にとっても興味は尽きない。
 私個人の目的は勿論、目星をつけている商品のためにお邪魔することも多いのだが、作家先生のお話が聞けることも大きな魅力の一つである。人間力を聞きにお邪魔すると言ったところだ。残念ながら購入までの意思決定にはたどり着かなかったとしても、そのメーカーさんの今後の商品企画への期待度が分かることも多いイベントなので、参加する価値が大きいと感じている。
 次に後者二つ目は、メーカーが主催してギャラリー作品展を行うという場合だ。興味深いと感じたところでは、タムロンというレンズメーカー(正確にはかつてカメラも別ブランドでやっていました。興味ある方は調べて下さい)がかつて主催した画期的な企画展をここでの例えとしてみたい。2011年に3331Arts Chiyoda という廃校になった学校をギャラリーに改装した場所で行った試みだ。このギャラリーは「序」章で挙げた分類の③社会教育施設に相当する、公共の学習施設の類だ。Eternity at a Momentと銘打った六〇人の写真作家の先生方が同じレンズを使ってそれぞれの持ち味の作品を発表するという試みだった。正直すごいと感動した。音楽で言えばオムニバスアルバムのようなものだ。贅沢な写真展だ。しかも無料。こんな試みあまり見たことないからだ。発表者の人数も、開催場所の広さも、なによりも同じレンズで写真作家が撮った作品を六十枚も見られるということはそうそうない。私見だが、間違っても商品のための実写サンプル写真と呼んだらあまりにも失礼で、もったいないという気がする。使用機材が18-270mmという広い焦点域を持つレンズなので、これだけの分野の違う写真作家が参加できたのかもしれない。しかも参加している作家先生方、現在の雑誌などでもお名前を拝見する方々ばかり、素直にすごいと感じた。さらにいうと、一度にこんな多くの先生方の作品を間近で見せてもらえて嬉しかった。メーカーさんに感謝である。またこんな企画あるといいなと思う今日この頃である。しかもこの後者の写真展の内容はもっと書きたいのだが、いつもの分量(文量?)に達してしまったので、今回はこの辺でお開きとしたい。残念。
 昨日は季節外れの雪が降った地域もあったようで、東京でもちらほらと舞っていたそうだ。まるで「なごり雪」の歌の世界である。でもさくらも終わり若葉が大躍進する季節、前向きに春真っ盛りを謳歌したいものである。皆の衆、写真を撮りにいきませう(笑)。

http://www.tamron.co.jp/タムロンのURL

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