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52 オーディオシステムの昔話 [世間話 イベント]

 レコードがCDに切り替わる頃、オーディオメーカーさんのオーディオアドバイザーというアルバイトを七年ほどしていたことがある(要は学生時代全部だ)。土日はこのアルバイト、平日は別のバイト。いろいろな意味で、元気だったなあと今考えると思う。
 それ以前、高校は軽音楽の部長(肩書きだけでなにもやっていないのだが)をやっていたので、そこそこ音楽に興味のある人間だったと思う。わたしのいた軽音は名前だけの軽音ではなく、ちゃんと軽音楽やっていた。だからアコースティック・ギターやヴァイオリンベースが馴染んでる。先輩にはバンジョーの達人っぽい人もいた。わたしに関しては、もう最近指の動きも鈍いので、たまに楽器のためにいじってあげるのがイイカナという程度で、お手入れがてら楽しんでいる。もっぱら聴くほうが多い。
 話を戻そう。その当時の単品コンポやミニコンポでは、ちょうどDAコンバーターという変換回路をどこに積むかという変化が起きていた。要はCDに刻まれているゼロイチ信号をアナログ信号、つまり音に近い記録信号に変換するのを、CDプレーヤー内ではなく、アンプで変換するといい音になるという理屈である。ちなみにわたしは理系ではないので、販売や趣味、解説の上での理屈しか知らない。その辺は考慮願いたい。入門編といったところのお話としておさめていただければ幸いだ。
 そこで出てきたのが光伝送という方式だ。それまでの赤と白のピンジャックケーブルでアンプとCDプレーヤーを繋ぐのではなくで、ゼロイチ信号のまま、光ケーブルでアンプに送って、そこでアナログ変換と音変換するという方法だった。だから光伝送だ。当時この方式のミニコンポのテレビCMに使われたのは、ショパンの『幻想即興曲』だった。光という言葉が新しかった。理屈としては電気抵抗や転送劣化を防ぎ、ピュアな音を再現できるというものだった。
 スピーカーについても、スリーウェイが主流になりつつある時代だった(ジャズやアコースティックと室内音楽などを主に聴く、わたし個人はツーウェイ派だったんですけど・笑)。スリーウェイというのは、スピーカーの箱に丸いコーンが三つあるタイプで、上からツイーター、ミッドレンジコーン(ミッドスコーカーとも)、ウーハーとなる。光は可視光といい、人間に感じる明度があるが、音にもあって高音波、高周波の領域では耳に聞こえないものがあるが、振動と波長が降りてくると高音の「音」になる。その領域がツイーターの復元領域。この辺りの音は音の波が小幅なので数メートルで届かなくなる。ハープの高音域やトライアングル、ハンドベルの高音域など、頻繁に出されるとキンキンして不快だが、適度に入ると涼しげで澄んだ音を奏でてくれる。
 人間の声、おおよその主旋律を弾く楽器、とりわけ金管楽器や木管楽器、ピアノなどの中音域を拾うのが真ん中のミッドレンジと一番大きなコーンのウーハーである。ヴォーカルをミッドコーン、音の広がりをウーハーが担当しているというメーカーさんのものもあった。この音域がしっかりしていると、ヴォーカルのブレス音はもちろんのこと、ジャズドラムのハケのスクラッチ音が渋く響く。結構個人的にはこれがたまらない。そして同じくこの音域がきちんと再生されていて録音原盤がクリアだと、ピアノの八十八鍵盤のうちの高音スケール、低音スケール、両端の鍵盤からでたピアノ線の音色の他に、鍵盤自身のカタンという木片の音のようなプッシュ音まで再生されているのも聴かせてもらったことがある。一般の家では無理だが、フェアやイベントなどに立ち寄ってみるといい。臨場感満点の感動ものだ。
 そして低音から超低音である振動と音の境目までを再生してくれるのがウーハーということになる。ウーハーのコーンの大きさが何センチとか何インチとかとこだわりのある人は、この振動すれすれの音を再現してくれるのを楽しみにしているからだ。コントラバス、ウッドベース、ティンパニーの音の再生はここにかかっている。お腹に響く音だ。ただしこれ半分は振動なので、建物や構造物を共振して、隣の部屋などに伝わってしまう。離れたところでもカラオケなどのベースの音だけが伝わって聞こえるのはそのためだ。都市部の家で大音量で聴きたい場合、防音設備のある部屋でないと、大インチのウーハーを持つスピーカーシステムは設置できないというわけだ。それを電気的に聞こえやすく振動を音に近づけたのがスーパーウーハーシステムである。電気的なので違和感が多少あるが、いままで聴くことができなかった楽器や音の再生がかなったという部分で、当時としてはすごかった。こういうのをダイナミックレンジ(音周波数の幅)が広がったという。
 ちなみにスピーカーは何で四角の木の箱かというと、答えはアコースティックギターと一緒である。裏面に必ずエアダクトを兼ねたサウンドホールがある(なければ何処かに必ず穴らしきものがあるはずです)。共振しやすい素材の木製で、共振した振動を外に逃がす役割を担っている。ピアノの天板が開く構造も一部は同じ理屈で、中で音が反響しないようにするためである。大きな意味ではスピーカーは、構造面から見たなら楽器の仲間ともいえるかもしれない。
 周りが固い素材の室内では高音が吸収されないので、窓を開けたりカーテンなどを全体に張り巡らせている小規模な演奏会場などもよく見た。高音は反響しやすく、返しの多いだぼついたぐずぐずの音になりやすいそうだ(洞窟やトンネルの中、お風呂場などを思い出そう)。柔らかい素材は振動を吸収してしまうので、高音は布やスチロール材などの壁にすると跳ね返らないらしい(ラジオ局や学校の放送室の壁を思いだそう)。低音は既述の通り壁全体で受け止めて共振するので、その場のオーディエンスの耳には残らない。壁を伝ってどっかに行ってしまう。
「音の抜けがイイ」というのもこのことだ。ただし、いまは随分と変わったようで、ここ最近は調音ボードや調音パネルの性能が良いらしく、専門家がやれば、難なく手短に、そこそこ環境設定は出来ると言うことだ。とりわけオーディオの再生は、本当の専門家がやると素晴らしいものになる。感動的なセッティングをイベント会場で、数回ほどお見受けしたことがある。
 他にもアンプの出力ワット数と音の関係、真空管アンプの柔らかさや、今はほとんどみないカセットテープのアジマス調整、メタルテープを使ってのノイズの消去録音など、当時のオーディオファンにとって、きっと興味は尽きなかったのだろう。
 記録媒体はオープンリールから8トラック、カセットテープ、そしてDATやMDからCD-R。さらにはMP3再生など、媒体を使わない録音まで登場して、わたしはもう浦島太郎状態に近い(笑)。わたしはカセットテープからの世代だ。幼少期にその前の8トラやオープンリールは存在を覚えているが、扱ったことはほとんど無い。
 でも音楽が人の心を癒やしてくれるのは、いつの世も変わっていないと感じることができるのは嬉しいことだ。七年もやっていたのでもっと話題はあるかなと思っていたが、意外に残っていない。忘れん坊の称号をいただけるほど、忘却力だけは負けない(威張れることでもない・笑)。知識のおつりで書けることはこんなものである。おそらくこの話題のシリーズ化は無理かも知れない。(筆者ポンコツのため)
 最後にもう一度お断りしておくが、わたしは技術者ではないので、大ざっぱな見解であり、精密、厳密な理屈をここで掲げてはいない。入門や初心者向けのわかりやすい案内をしたまでだ。しかも二十年も前のオーディオ機器の話なので、思い出話として受け取っていただけるとありがたい。実際わたし自身も、今は単品コンポを使ってはいない。ミニコンポである。そして性能のいいベッドフォンが今は出回っているので、大きな音での再生、再現をしたいときはそれに限る。それがシエスタのお伴である。
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