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58 社会教育施設・音楽ホールの話-生涯学習としての考察から- [リベラルアーツっぽい話]

 街角やラジオからマッカートニーの『ワンダフル・クリスマス・タイム』やレノンとヨーコの『ハッピークリスマス』が流れる季節になった。このマッカートニーの曲も『幸せのノック』のようにあたたかくて、仲良しな曲である(私はそう解釈している)。「シンプルにステキなクリスマスの時間を」なんて歌詞がマッカートニー流だ。しかもふわふわのテクノポップ調だ。
 レノンのほうは、周知の通り、ご存知平和を願うメッセージソングである。でも多くの皆さんはやっぱり山下達郎さんかな? 
 さて、今回は表題通りの「リベラルアーツっぽい話」が出来る上に、主題の一つである社会教育施設についての話も兼ねている。少しだけ普段より背伸びをしてお話をしていきたい。ただし所詮書き手はわたしなのでそこそこレベルである。そこそこが、どの程度かは皆さんが一番よくご存じであろう(笑)。
 今回は鎌倉芸術館という音楽ホールへと仲道郁代さんのコンサートに出向いた。加羽沢美濃さんの時と同様に音を楽しみに行く。しかも今回のお目当てが利き酒ならぬピアノの音の聞き比べである。音楽家でも、調律師でもない素人のわたしにピアノの音の聞き比べの内容は述べられないので、そのものではなくて、文献屋が書けそうな周りの話題をご紹介と言ったところだ。
 さて、家でよくかけているクラッシック音楽CDの弾き手のひとりでもある仲道さん。その方の演奏が生で聴けるというので、フラフラと出かけていくことにした。加羽沢さんの時は、音楽とトークで心を温めに行く。
 若き日は美人ピアニストとして名を馳せた(今でももちろん変わらずにお綺麗だ。よく世間一般の例えに使われる「野に咲く花」と「高嶺の花」。この方を例えるならやっぱり後者である)。ちなみにわたしはそれが目当てで行くわけではない。それがお目当てなら、お顔のよく見える左やや中央寄り、一番前の席を陣取るほうがいい。いつものように「おじさんに、そこまでの行動力はない」と言うつもりだったが、その場所はわたしよりご年配のおじさんたちが沢山いた(やっぱり人気なんだ・汗)。でも鍵盤さばきを見たい人や知人、身内、関係者などもいると思うので、一概にすべてがファンとも言えないけど、それぐらいファンがいてもおかしくないピアニストさんである。
 私流に言えば(素人の私流ですよ・笑)、演奏家の技、ピアノの音が調和する音が味わえるのは、個人的にやっぱり後ろの席とにらんでいた。しかも表立って電気的に音を拾わない、ほぼ原音だけのコンサート。一段高い舞台上のピアノ。その天板の開き位置の角度が調音パネルのように客席に音を反響させるので、なるべく真ん中から後ろあたり。しかも弾き手が左側なら、音の出る場所は右側ピアノ本体。客席も中央から見て、やや右よりがいい。わたしの勘は今回は当たった。第二部の演奏会の時に開いた天板の真正面。幸運だった。
 以前と重複になるが、主によく部屋でかけている現役の日本の演奏家のCDが、小山実稚恵さんと仲道郁代さんのものだ。歯切れのよい、割かし規則正しいさっぱりしたリズムで弾かれる小山さんに対して、たおやかで、しなやか、柔らかい演奏をなさる方だなと素人ながら思っている(あくまで素人のわたしの個人的な感想である)。今回もそうだった。だがその奏法なのに激しい曲もちゃんと出来ている。さすがだ。しかも後半、あの長時間、延長時間になっていたが、息切れ一つせずに、MCも続けていた。
 そのほかのこの方の個人的なことや経歴などはあまり詳しく知らない(プロフィールにでていることだけ知っている)。それ以上のことはファンの皆さんのほうがよく知っていると思うのでボロが出ないうちに次の話題に移ろう。
 もともとホールスタッフのお話だと、仲道さんはこのホールが作られたときに、この会場に設置するピアノの選考委員のお一人だったそうだ。改装が終わって、再稼働する記念のこけら落とし、「リニューアル記念公演ラインナップ」の一環での開催である。
 その選定されたピアノは四台。ベーゼンドルファーMODEL290、スタインウェイD-274、ヤマハCFⅢ-S、カワイEXである。スタインウェイは選びに行ったエピソードなども話して下さった。この四台のピアノがどのような性質のものなのかステージで調律師の皆さんや仲道さんが教えてくれる。僭越ではあるが、及ばずながら、それ以外のコメントはわたしなりに調べたものもある。
 順に行くが、まずはベーゼンドルファーから見ていこう。コンサートのリーフレットにはMODEL290の後に「インペリアル」の文字が無いのだが、会場のスタッフさんに訊いたところ、同じ物とのことだ。オーストリアを代表するピアノでありメーカーでもある。現在は日本の楽器メーカーヤマハの傘下にある。辞書でこの名を調べると、企業名ではなくピアノ製造のファミリーの名前が出てくる。ロケーションからして、やはりクラフツマンシップが生きているからなのかなと思う。辞書には、創業者の息子ルートウィッヒが今日の繁栄の基礎を固めたとある。
 MCでも触れていたのだが、特殊なモデル290は97鍵盤数を誇り、低音の9音が他のピアノより多い。ちなみにピアノは88鍵盤が一般的。余分な鍵盤は白鍵位置にありながら黒色である。
 資料によると、バッハのオルガン曲をピアノで弾くことを目的に作ったという話も見つけた。しかもその愛用者のすごいこと、その鍵盤数の多さを武器にして、バルトーク、ドビュッシー、ラヴェルなどの愛用者の名前がある(ほぼ印象派の面々)。しかも生産数の異常に少ないことでも有名。ステージ上の調律師さんの説明では、チェンバロからピアノへと派生していった過程の痕跡を残すピアノで宮廷用に音響効果が設定されているという。この辺り歴史好きの私の心をくすぐる(笑)。
 またわたしの資料にあったのでは、このピアノ独特の響きやそれを再現する楽曲を「ウインナートーン」というらしい。ウインナー(ウイーン風)といえば、コーヒーとソーセージしか知らないわたしにとって、なんて高尚な響きの単語なんだろうとひとつ賢くなった気がする(笑)。ちなみにモデル番号の290はピアノの奥行きが290cmあることに由来する。
 次にスタインウェイである。これも274というモデル名は奥行きの長さである。もともとはドイツでの創業だが、1849年の二十年もたたないうちにアメリカのニューヨークへと移って名声を得たメーカーである。知識のない私を含め外国の楽器メーカー、特にピアノを一つ挙げろと言われたら、この会社名を挙げる人が多いのではないだろうか? それぐらい認知度の高いメーカーである。
 これもステージ上の解説ではアメリカの富裕層がホームパーティなどで使うために、それに合わせて音を作っているという。まさにブルーグラスの発生と同じくして大きな家で音楽を楽しむためのピアノだったようだ。
 スタインウェイ社には二つのフラッグシップモデルといわれるピアノがあり、クラッシック音楽で威力を発揮するのがこのD-274である。ジャズやポピュラーではC-227というモデルが有名なようである。ちなみにこのD-274は二千万を下らないそうだ。
 そしてヤマハCFⅢ-Sという国産フルコンピアノ。ここに挙げた四台は、すべてフルコンピアノという。グランドピアノの中でも奥行きの長いピアノのことをそう呼ぶようだ。正確にはフルコンサートピアノという。大会場でも音が響くように設計されている。だからこの芸術館の大きなホールに設置されてるのだ。おおよそ270cm以上の奥行きがあるものが一般にフルコンと呼ばれるそうだ。
 利点としては、ピアノ線が長いので、低音が安定することと、弦の震えが長く続くので余韻や響きが豊かだという。このピアノについては、かつていわれていたらしいのだが、ヤマハ特有のきらきら音から脱皮して、深い味わいの音を出したと称賛を浴びたモデルだ(どこからかの請け売り。ただしわたし個人的にはきらきら音も好きである。安心感さえ持てる。なんせシンセサイザー世代なので。DX-7なんて名器だったなあ。KXとの組み合わせも最高)。
 ヤマハが出れば、カワイも出る。EXという国産モデル。とりわけ会社の姿勢としては、オーディオメーカーのオンキョーと提携して、音への追及をしている勉強熱心な部分もある。EXは他の製品とハンマー部を変えて特注にするなど細心の技術が施されている。たたき具合で強弱や余韻って変わるから、やはり重要である。
 とまあ、楽器好きではあるが、ピアノの型番までは知るわけもなく調べものの山であった。しかもフルコンのピアノって、商品のラインアップに入っているのを今回調べて初めて知った。各メーカー受注生産に等しいこれらのラインアップ製品もコンシューマー向け製品と同列にPRしていたことに驚きだ。
 個人的には、ピアノって学校かお店でしか、あまり触ったことないので、フルコンピアノにいたっては、この先ご縁もなさそうにも思う。触れる日は来るのだろうか? 少なくとも自分で買う可能性はまったくもってゼロに近い。当たり前か……(笑)。
 まあ、四台のピアノ概略をざっと拙い知識で並べてみた。ステージ上での説明と入れた物は、実際の公演での最中にピアニストさんや調律師の方々が教えてくれた知識である。それ以外はぎこちない当方、ピアノに関しての知識がすくないため大目に見ていただきたい。先に頭を下げておくしだいだ。

 館内の設備はとても各方面に行き届いて、清潔かつ機能的である。玄関にいたるアプローチも広く、同じ時刻に閉幕後観客が殺到する際の混雑もそれほど気にならなかった。音楽ホールは「く」の字型に広がって客席側奥に行くにしたがって広がる構造だ。高低差もあり、出入り口の扉付近はステージよりも若干高くなっている。エスカレーターで二階に上がる構造で一階の美術展示室が廻廊状になっているのと同じ間取りで二階の音楽ホールに行くアプローチも廻廊状になっていた。
 その廻廊は一階に竹林の日本庭園が造られているため、それを囲む形。一階にいても、二階にいてもの庭園が見える配置になっている。
 今回のリニューアルは構造上の刷新ではなく、主に消耗品や摩耗の補修などを中心としたものとのこと。ただしステージの照明などは新しくされたと、ステージでの説明はあった。
 コンサート自体は第一部は楽器の音色鑑賞という面白い企画。ドビュッシーの『月の光』を四台で聞き比べをすることが出来、貴重な音を拝聴できた。『子犬のワルツ』のワタリ弾きなど普段の仲道さんのコンサートでは見られない貴重なステージだった。
 第二部は演奏者がそのピアノに合った楽曲を数曲ずつ弾いていく。したがって演奏リスト通りの順番ではない曲になっている。アンコールはエルガーの『愛の挨拶』。これが聴けるのが個人的には嬉しい。値段以上のコンサートだったとわたし自身は感じた。帰り道には頭の中で『愛の挨拶』の余韻が残っていた。
 以前にも話したが、特にクラッシック音楽に詳しいわけでもなく、ただ好きで聴いているだけのわたしだ。したがって、曖昧な部分や上手く表現できていないのは、わたしの知識の未熟さである。大変申し訳ないが、先にご了承いただけると嬉しく思う。
 社会教育施設としてのこちらの音楽ホールはどちらかというと、かなり専門性のある音楽ホールである。ピアノが四台もある時点でわかることだ。しかも演奏者さんも言っていたが、その四台が同じステージ上に並ぶなど多分あまりないという珍しい光景を見れたのも興味深かった。
 今回の功労者はステージ上、四台のピアノを渡り歩いて弾いていただけた仲道さんではないかと思う。普段は一カ所で一台のピアノで弾く筈なので、疲れたのではないだろうか? また彼女が「この子たち」と移動されていくピアノを慈しむ言葉をかけていたのが、客席のわたしには好印象に映った。そして同様の功労者、スタッフの皆さんたちにも、ねぎらいの言葉をおかけしたいくらい忙しいセッティングだった。
A thousand thanks! とそっと言っておこう。とても楽しいステージだった。しかも都内より少しだけリーズナブルなチケット代設定にも感謝である。


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仲道郁代さんのTwitter
https://twitter.com/Ikuyo_nakamichi

鎌倉芸術館のホームページ
http://www.kamakura-arts.jp/
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