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80 夏のお祭り見物-鵠沼編 [まつり見物の話]

 最近は、いろいろな地域にある古社古刹と歴史物語を重ねた生涯学習の学習テーマを考えている人も多い。神奈川には、川崎のお大師さん、鎌倉の八幡宮、そして湘南の江島神社などが、観光地ということもありすぐに思い浮かぶ。
 前回はその江島神社、今回はそれと同じ市内、歴史的にも有名な古社が舞台である。近くに幕府があったためもあるのだろうが、この辺りは有力御家人が多い。この時代の政治の中心地、鎌倉の近くに居たため重要な仕事を任されたのかも知れない。
 そんな有力豪族のひとりで、平氏一族の鎌倉権五郎景正という人物がいた。幕府の出来る少し前の時代の人である。開墾した荘園をそのまま伊勢神宮に寄進している。いわゆる御厨(みくりや)である。最初に開墾した当初の姓は大庭でなく、鎌倉と言われたが、次世代の子らが御厨地域の分割相続で大庭姓を名乗る。幕府成立後の鎌倉期には大庭姓も御家人の名家となる。
 寄進は平安時代のことだ。現在の茅ヶ崎市、藤沢市、寒川町の地域に伊勢神宮領の大庭御厨が成立する。御厨とは、おおざっぱに言えば、もともとの意味は神前に供える食料を調達する場所である。この土地から伊勢神宮に何らかの産物が送られ、納められたのだろう。
 昨年、執筆の内職仕事(ペンネームで)として、相模湾地域の歴史と観光のお話を数回、ほんの少し、別サイトの小さな記事として紹介したことがある。そこでもちょっとだけ触れた御厨のお話。それをもう少し詳しく祭の話に内容を絞って、最近の写真を交えてお話をしていこうと思う。
 現在でも湘南ライフタウン周辺には大庭という地名が広く残る。そのためか、この地域には大小様々な神明系(伊勢神宮系)の神社が今でも点在する。その中心的な役割が鵠沼皇大神宮である。紋も伊勢神宮と同じ花菱紋、現在でもこの付近では、伊勢の注連縄を玄関先に飾るお宅をお見受けする。伊勢では一年中玄関先に注連縄を飾る風習がある。それらのご家庭もきっとお伊勢さまを大切に思っているのだろう。心が洗われる思いである。そしてこの神社は別名烏森神社ともいう。旧鵠沼村(あるいは土甘郷)の鎮守さまである。
 またこの神社は鶴岡八幡宮が勧請されるときに、神さまがお宿として、鎌倉入り前に御旅所(神さまのお宿やお休みどころ)を果たした神社でもある。そのご縁なのかは知らないのだが、ここの例大祭の舞は古えの鶴岡八幡宮の舞人(神楽男)が伝えたとも言われている。
 そんな歴史の風情に夢を膨らまし、想像しながら訪ねると、真夏の暑い最中、九台の山車が神社周辺を渡御する。それぞれの氏子地区が各山車を所有しており、それぞれの山車には歴史的な人物や神話やお伽話の人物の人形が乗せられている。これを人形山車という。
 お囃子を乗せた山車が鵠沼のお伊勢さんに向かって動き出す。地域のお祭りのものとしては、盛大な部類である。順に那須与一、源頼朝、神武天皇、源義経、徳川家康、楠木正成、浦島太郎、日本武尊、仁徳天皇と境内に入っていく。
 特に気になったのは楠公の人形があることだろうか。関東では珍しい楠公をたたえるもの。個人的に好きな人物のひとりだ。千早城の勇敢な戦いなどに男のロマンと帝思いの真心を感じて、歴史の読み物を読んだ記憶がある。
 奇抜なところでは浦島太郎。竜宮城である。片瀬江ノ島駅が竜宮城の形をしているのと、なにかご縁があるのだろうか(まさかね)。
 そして関東では家康公はどこに行っても英雄である。戦国時代を止めて平和な時代を築いたとして祀られている場所も多い。一部の記事などで、最近はローマにあやかって、「パックス・トクガワーナ」などと、この時代を表現する人もいるくらいだ。
 詳しいいきさつやご由緒は分からないが、これらの人形山車はとても美しく、被写体としても魅力的なものである。山車自体は明治の世から始まったという。これほどの文化的遺産を平成の世まで続けてきた先人たちと現在の実行する人たちのご苦労をねぎらいたいものである。
 歴史を旅するのは夏がいいと思うのは私だけだろうか。いや多くの場合、小学生の課題研究の頃から、こういったものは夏と相場が決まっている(ちがうかな?・笑)。そして祭り囃子を耳にすると、なぜか心にこみ上げてくる思いがいつもある。懐かしさや温かさである。守りたい伝統文化のひとつである。

<余談>
数年前に、あるピアノコンサートを拝聴にいったとき、唱歌か童謡に近い、祭の曲をピアノで弾いてくれたピアニストさんがいた。別に私に弾いてくれたわけではない(当たり前の話だ・笑)。季節柄秋が過ぎゆく頃だったため、それと重なり、とても感動したことを思い出した。その人ご自身も情緒や風情が好きだったのかも知れない。西洋楽器のピアノと譜面が、紡ぎ出す和のメロディー、良いものだった。得をしたと思って根岸線に乗り込んで帰った覚えがある。五音階やヨナ抜きの曲だったのかな? ショパン(だったと思う)などのクラッシック作品のあとで飛び出したため、とても心に残ったプログラムになった。


人形山車の渡御光景
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那須与一公
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源頼朝公
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神武天皇
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源義経公
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徳川家康公
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楠木正成公
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浦島太郎
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日本武尊
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仁徳天皇
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