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83 暇つぶしの幸福論⑤ -素人ジャズ鑑賞の感想編- [暇つぶしの幸福論]

 最近はジャズ浸りだった。音響趣味三昧である。前述の「バンブル・ブギ」や「The world is waiting for the sunrise(世界は日の出を待っている)」とかのデキシーランドや、近年人気のジャズピアニストの上原さんのCDなどを聴いていた。
 バンジョーの入った楽曲は、納得のいく発見になった。「オール・マイ・ラヴィング」のレノンの弾くリズムギターのあれって、バンジョーの弾き方の応用なんだと勝手に納得した。もはやあの速さはストロークではない。レノンがアマチュア時代、バンジョーのコードの応用で演奏していたことは有名である。
 ハヤ弾きというところでは、上原さんの「トムとジェリー」の前半部のスピードのある弾き方、凄いなと感じた。ただしこの曲は、完全オリジナルで、挿入歌のアレンジではないようである。なぜこの曲を例に出したかというと、テレビマンガの中での二匹のスピード感あふれる、いつもの追いかけっことコミカルな騙し合いがピアノの音を介して、目に浮かんだからである。おきまりのように、最後にジェリーは壁にあいた巣穴に逃げ込み、トムは壁にぶつかるというオチがお約束だ。
 ジャズの面白いところは、ロックのビート感ではなく、リズムの持つ速さを、それぞれの特徴を出した楽器が演じているところにある。ロックの良いところは、シンプルな強弱の中で、ノリをビートにまかせているところと私は思っている。ジャズのそれは、例えばトリオなら、ピアノが主役の時、ベースが主役の時、ドラムしかりと、演奏のおもしろさを前面に出している部分にある。ヴィンス・ガラルディの「ライナス・アンド・ルーシー」も例に漏れずそんな構成である。他人の言葉を借りれば、「旋律と低音と拍が競い合うのがトリオジャズ」と言えるらしい。その辺がシンプルなのに、楽器の魅力がダイレクトに伝わる理由などと勝手に思っている。
 二十一世紀に入ってから、ジャズの歴史の本が多く出回るようになった。あれこれ言えるほど読んでいないので、ご紹介は差し控えるが、ジャズだけで文学史や文化史のように時代相を語れるだけのコンテンツが出てきたということにもなりそうだ。勿論これは個人的に素人の私が、昨今の書籍事情の一部(きわめて情報量の少ない私の見識)から察したに過ぎない。語れるほどうんちくを知らないので、楽曲の感想で止めているのはそういうことだ。素人は感想と体験談しか述べられないのである。
 ただ言えるのは、いままでの私はジャズを聴く姿勢としてはおきまりのイメージがあった。ジャズバーやジャズ喫茶の大きなスピーカーから再生される振動を纏ったベースを体感し、古びた軽めの音をはき出すピアノ、ハイハットではなくトップシンバルでリズムを刻み逆手打ちのスネアは、時代を感じてか、目を閉じて深く聴き入ってしまう音楽なのである。
「A列車」や「朝日のようにさわやかに」の伸びやかさが好きだし、時代を感じると言えば、一歩手前の時代のラグタイムジャズ(含むホンキートンク)なんかもいい。ただしこれはもともとがピアノ演奏を前提に曲作りされているので、トリオと言うよりも、コピーする演奏者もピアノだけの場合が多い。
 例えば、あまり曲名とか知らないけど、「Mississippi Rag」、「Maple Leaf Rag」なんかかな。みんなが知っているものだと「The Entertainer(スコット・ジョプリン)」だ。調べてみてほしい。一度くらいは聴いているはずだ。オルゴールやピアノロールから飛び出した温かみのある音楽と同じ雰囲気である。こういった感じでジャズを聴くのが私流の姿勢である。
 ラグタイム時代の話を続けよう。人によってはチャップリンや無声映画のイメージ、あるいは古き良きアメリカや欧州移民開拓者時代って感じに取れるかも知れない。欧州ならアイリッシュや西欧の港町のイメージだ。十九世紀から二十世紀の初め頃の音や雰囲気が蘇る。これらをジャンル的にはクラッシックからジャズに移行する過程の音楽という人が多い。アドリブのジャズではなく、譜面おこしのクラッシックに近いためというのが一般的なセオリーらしい。そして専門的な音楽家の人たちが書いている評文などには、ラグタイムは聴き心地のよい和音で構成されている(だから私はくつろぎモードで幸せ気分で聴けるのだと思う)、ジャズは不協和音で構成されているとある(だから聴き入ってしまうような技術者のような音楽になると思う)。ちょっと変わったビート、別のテイストを持つ「テイク・ファイブ」などの例外もあるのだが、どれにせよ、幸福な瞬間と楽器のテイストを十分に味わえる曲たちである。
 今回、最近は冒頭で述べたように、それに加えて、新たにスピード感のあるジャズの存在を気付かせてもらえた。今風の進化したいいジャズの楽曲を聴くことが出来たと言うことだ。
 ジャズやラグタイムを弾ける音楽家は凄いなと思う。若い頃、たまたま知り合った、地域で活躍するジャズピアニストさんは、「ジャズというのは音楽業界全体で言えば、食品業界全体の糸こんにゃくの売りあげに匹敵する小さなマーケットなんて言われているんです」と私に教えてくれた。それ以来、ポピュラー音楽を沢山聴いてくださる方がいるから、私はジャズの名盤が聴けるのだと今でも思っている。感謝なのだ。だから出来るだけ許容範囲を広げ、音楽のジャンルで優劣をあまり決めないように心がけている(要は他人の趣味に口出ししないということである)。すなわち古風なセオリー通りのクラッシックだけが王道とも思わないようにするし、ポピュラーだけが格好いい音楽とも思わないようにしている。裏を返せば、クラッシックもポピュラーも大好きな音楽である。つまりはエレキギターとベヒシュタインピアノ、雅楽の楽器やシンセサイザー、チェンバロと、どの楽器を使っていても、皆、音楽は音楽なのである(笑)。私の中では、気持ちだけでもそういう姿勢を持っていたいと思っている。
 それ故、皆さん、どんなジャンルでも良い、どうぞ視聴覚資料を充実させるために、CDや音楽コンテンツを沢山入手して聴いて頂きたい。そうすれば、各地の図書館の視聴覚ライブラリーやCDショップのジャズコーナーが充実するのである。書籍と同じ再販制度がある間の話なのだが(それをやめたいまのイギリスは大変化がおきたらしい。詳しくはご自分でお調べください)。学術・文化・芸術を受け身、ソフト面で愛するおじさんの独り言である。

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